2008年4月22日火曜日

arigatou

決行時はきたのなり
小生一週間前から掘り当ててる裏口のドアからこっそりと抜け出したのなり
家族はもちろん寝静まったまま
真っ暗な空間でも久方ぶりに味わうその空気の清々しさが今も忘れられないのである
早速昔のつてを当たった
同じオス猫のマイケル彼は駄目な見本のようなものでどんな汚い場所でも安全なら寝てしまう
小生の反面教師だった男なり
マイケル、あれマイケル
ここにはいないにゃ〜
誰か声かと思えばちびた子猫
おぉマイケルの子供かな
全然違うニャーまだ生まれて二ヶ月も立たない子猫ですがな
その割にはおお、おお随分としっかりとしてるではないですか
あんた人を捜してるようだけどここではジェニーといってアイドルのような存在の猫に気に入られる事が先決ニャー

ジェニー ふー面倒な事なりね
その夜は家の外にあるゴミをあさって一晩をこしたなり

子猫に紹介された場所を当たって訪ねるとその猫はいたのなり
いろんな場所を丹念に舐めて毛繕いをしている
年は30くらい
脇には差し出された沢山の餌
ジェニーはどう誰にも飼われなくても豪華な暮らしは可能なのよ
一目見たら忘れられないきらびやかな視線を浴びせてくる

何かいいたい事は?
ジェニーはそのキラリと光る眼光で自分に問いかける
人を捜してるなり
小生の母親 まだ生きていると思うなり
でその見返りは
え!?と
そんなものが必要だったとは小生たじろいだ
いいわ今回だけただで見てあげる
そのかわり今度そんな汚くてみすぼらしい格好で私の前に現れたら相手しないから

ジェニーは自分の顔をまじまじと見つめしばらく考え
ここから10ブロック行った場所にあなたの面影があるメス猫がいたわ
でももう・・・・
そうなりか死んだなりな
そうじゃなくって
忘れてるかもしれないってこと
雌猫ならわかると思う

小生ありがたく情報を受け取り10ブロック先の建物へ向かったのなり
もう朝から昼間に映って忙しげに人や車は流れてる中
小生ついに見つけたのである
体は少し自分よりおおぶり
目元や模様もそっくりの雌猫を
小生はためらいも無く

母上 母上
小生は声にならない叫びで
母上に必死でアピールをした

ふと気付いたのかその暖かい目で小生をちらりと見る
しかしその瞬間視線をそらしツンとしたのでござる

後ろには沢山の子猫
大事そうにぺろぺろと舐める光景を見て 
小生悟ったのでござるもはや自分だけの母親ではないのだと
自分の子供
誰か別の親との子供
なぜ分け隔てなく愛せないのか
小生にはとんとわからぬ世界ではあった

夜遅くこっそりと家の中に忍び込む
ただ事では済まされないなと覚悟をしていたでござるが
物音がしたと同時に顔を上げると
この家の主人がこちらを見ていたのなり
なんと一家総出で自分を迎えてくれたなり
みんな涙で顔を腫らし自分をいきなり抱きしめてくれたのなり
お前を失う事だけは絶対にいやだったんだ
小生恥ずかしながら自分の思うがままに生きてきたなりが
必要とされていた事にこの年になって初めて実感を覚えたなり

相変わらず家の中でしか生きられないでござるが前よりもずっと大切にされているなり
小生友達が出来たのなりといっても異性でござるが
小生よりもずっと毛並みもよく高貴でござるが
分け隔てのない性格でこれとても愛おしいなり