2008年1月30日水曜日

モノクロームカーニバル

その日までの私はまるで檻で飼われた動物のよう






今日で何日目だろ

窓は閉め切ったままカーテンも
光を浴びると気が狂いそう

あたしの人生全て幻
今までもそしてこれからも

食事の時間になれば親が部屋まで持ってきてくれる

他人の顔がみな同じに見える
なんか吐き気がする
ココが一番良い


静けさが狂気を呼ぶ空間



その時私はある異常に気付いた

人の気配も感じない鳥達も車も

街が誰もいない状態になっていた


静寂はどこまでも続いていて
時間も空間もないような


誰?
何か気配を感じる
・・・

待ってよ
いつもなら言葉にならない

夢中で追ってる
いつの間にか見ず知らずの人間を追ってる

咄嗟に足下にある段差に蹴つまずくと
見事に顔面から転んでしまった

痛いよぅ


顔をあげると白い仮面のスーツ姿をした人物がいつの間に目の前に立ってた

おいで
君を連れてってあげる

そのうつろでつめたい表情にキョトンとして


連れてくってどこへ?

いいからおいでよ

街中は賑やかなのに今日は誰もいない


うわぁ玩具や絵本がいっぱい

どれでも好きなものを選んでいいんだよ

ガラス張りのショーウィンドウには
今まで高嶺の花だった人形や洋服

それが欲しいんだね
仮面の男は

持っていたスパナのような鉈でショーウィンドのフロントガラスを思いきり叩き割った

あまりの予想だにしない行動に
思考が停止して横顔を暫く見つめていた

いいんだこんな所に飾ってあるだけより

まるで誰かに縛り付けてあったかのように男は憎々しく見つめていた


ちょっとお腹が空かないかい?
魔法のような料理店に足を踏み入れると

見た事もない料理が次々に目の間に並べられる

人と向きあって食事をするのは久しぶりだった

美味しいと言う言葉よりもこの時は楽しいと言う言葉が相応しかった

さてと
君に見せたいものがあるんだ

デザートのアイスを口の周りにつけ
急な催促にきょとんとした

その裏には何か要求のような
何か大きなものが待ってそうだった

目を瞑って・・・
そう言うと
いつの間にか森の中にいた
そこには変わらない事象を象徴してるかのように
森林 の中に人々のいろいろな事故が詰まっていた
交通事故
飛行機事故
災害事故


傷付いたらまた再生するのを待つよ


それの繰り返し
また
待たなければならないなんて苦しくない



ねぇ名前教えてくれる
あなたの名前


今までぼやけていた輪郭がはっきりと見えるようになった

表情はわからないが
少し微笑んでくれたような気がした


少しづつだけど光を入れる
元の世界に戻るときそう決心した

自宅の玄関の前

・・・
脇に飾ってある鏡を見て
誰なのこれ?
もしかして自分の顔・・・・

目の前にあるのはほんの少しの甘い思い出と残酷な年を取った自分の姿

泣いても戻らない
でも涙が止まらない

ただ現実は戻らないんだ・・・

2008年1月22日火曜日

桃源郷

コウタ起きなさい、もう時間よ
母親の催促で少年は布団から出る
もう秋だというのになぜかポカポカと陽気だ

今日は週に一回の休みの日でドライブなんだから・・・
もう行き先は決めた?

うん、西の方へ向かいたいな

あなた聞いた、今日は目的地無しですって
今で新聞を開いて座り込んでいる父親に聞く

ま、たまにはいいだろう。そうだ今日は安全運転で行くぞ



朝食は取らずに車に乗り込む
母親は化粧や身支度で暫くして乗り込んできた

ごめんなさいちょっと手間どって、さぁ行きましょう

車はゆっくりと走り出す

お父さんの運転だと安心して眠れるよ
はは、信頼してくれてどうも

車は郊外を抜けやがて田園の風景へと足を入れる

あら、コスモスの花があんなに奇麗
母親は目を輝かして窓から顔を伺わせる

もうすっかり秋か


何の変哲も無い交差点
その時、勢い良く脇の道から車が飛び出してきた
対向車に乗っている運転手の女の目がカッと見開く
急ブレーキの音がけたたましく響く

辺りの風景が真っ白になって気を失った
どれくらい経ったのだろう
気が付けば車の中にひとり残されてるようだった
事故の跡は無い
あれは夢だったのだろうか

少年は車から足を降ろす
辺りは霧がかかっており
視界は何も見えない

父さんと母さんはどこへ行ったのだろう

急に風鈴の心地よい音が聞こえてきた
その音を辿れば何かがありそうだ
そう思った少年は坂道になっている道を歩んだ

風鈴の音を辿るとそこは民家のようだった
しかしただの民家ではなく何かを展示してある

よく見るとそれは陶磁器だった

気が付くと母親が急に傍に立っていて陶磁器を眺めていた
ほら、きれいな模様ね
これは


いつの間にか父親が無言でその様子を眺めてる

こっちにはもっと大きな窯元があるわよ
母親にそう促され立派な技を施した磁器がある

大きな壺や動物を形どった立派な陶磁器が展示してある
笑い合いながら少年はそれらを堪能した

楽しい時間だった
こんな平和な時がずっと続けばいいそう少年は感じた


そろそろ帰ろうか?
そう小年が促すと

そうね、
母親は少しうつむいて
何かその表情には残念さとせつなさが表れていた

父親はまっすぐ少年の顔を見て
お別れだコウタ
父さんたちは別の世界へ行くよ

駄目だよ置いてかないでよ
気付けば病院のベッドに少年は眠っていた

気が付いたか
君は生き残ったんだよ
白衣を着た老人がそう告げた

僕は一体
左手にしっかりと握られてる粘土のかたまり
少年は今自分に降り注いでる境遇を握りしめるかのように噛み締めた
さようなら

2008年1月1日火曜日

サバイバルマックス

注意
この文章には残虐な表現が含まれています
お読みの際には気をつけてご覧ください




何処にでもありそうな郊外のディスカウントショップ
空はどことなく殺伐とした空気を醸し出していた
とある午後2時
30代前半の男が店に悠然と入っていった
バイトの女子から
入り口の買い物かごを持ち出す場所で小銃をもらう
午後3時
店内からアナウンスが流れる
さぁ今日もサバイバルマックスが始まります視聴率を保つためにもがんばって死闘を繰り広げてください

男はそのアナウンスと同時に殺人マシーンのように殺気に包まれる
息をひそめ左のコーナーへ進む
電化製品のコーナーここではハイビジョンなどの薄型テレビが展示してある
男はめぼしいテレビを傷つけないよう前に進む

後ろから声をかけられた
気づけば老婆のようだ
あんたここがどこか教えてくれんかね何かと方向音痴でのぉ
老婆は必死にしがみついてくる

今サバイバルマックスだと知ってて聞いてるのか
おお、おぉ物騒なものを抱えて儂に預けてくれんか?
小銃を取り出そうとした瞬間老婆の後ろから誰かが出てきた
サイレンサーを装着した銃は
老婆の体をぞうきんの様に撃ち抜いて自分をしとめた
キュンキュン ガン!ガン!ガン!
間髪を入れずに小銃で応戦した
右の脇腹にかすり傷程度の怪我を負ったが
相手の急所に命中していた
この老婆はいわゆるかませ犬だった

狙った人物覆面をしていて表情さえ解らないが痛みにもだえている
このまま死なせてやるかそれとも

そう考えてるうちに午後4時終了した
おつかれさまでした今日も生き残る事が出来た人達にはこの店から好きなものを一点贈答します

男は大画面のプラズマテレビを選択した
自宅に帰って寝そべって見ていると
今日のサバイバルマックスのハイライトです
明るいナレーターの声が悲しく響く
ドラマのクライマックスを見てるようだ

俺は今日もまた一人をやってしまった
剣奴の様に殺し続けなければ生活も未来もない
相手はたとえ犯罪者や敵対国の捕虜、宗教犯罪者
それでも引き金を引く時震えがくる
奴らも必死なんだ
俺も人間だ

だんだんと夜が更けてゆく中
俺はこんな身分に生まれた以上
抜け出せない 戦う事でしか自分を表現できなくなった
しかしもう後少しだ
こんな残虐な企画
時代が変われば人も変わるむしろ逆だ人が変わるんだ
男は英気を養いながら次の戦いに備えた
何時最後になるか解らない袋小路にたって