2010年12月30日木曜日
2010年12月19日日曜日
誕生日
それと部屋の片付けも洗濯もちゃんとするのよ
わかってるよ
自分の部屋に寝そべって相変わらずな母親と対話する
でもちゃんと覚えてるんだね
ちょっと違う今日は自分の誕生日
部屋の電気を消してテレビの明かりだけにする
声は消音にして自分だけに浸る
小さなケーキとビール
フカフカの枕を頭に当てて寝そべりながら時間を過ごす
時間はただただ静かに過ぎてゆくけれど
こうやって静かに穏やかに過ごす時間
いま思えばそんなになかった気がする
テレビ番組も内容が佳境に入ってきた
静かに眼を閉じる
るるるるる
電話が突然なった
はい
こんな時間に誰だろう
無言の電話だった
ともあれほろ酔い気分の自分にはどうでもいい
いつでもあなたとは一緒だから
テレビ番組のヒロインがそう叫んだ
何故か目線は僕、のような気がした
2010年12月13日月曜日
聖女
なんにも言わないならはっきり言うよ
あの女の言うことなんてどこにもないんだ
さすがに今度は我慢ができないね
いくら菩薩のような私でもこの態度にははっきりいってゴメンだわ
フ~ため息しか出てこないよ
いままで何のために私たちは一緒に頑張ってきたんだろう
一瞬でパーだ
いつでも帰ってきていいんだよ
君を咎めても同しようもないからね
分かってますね
いつでも帰ってきてね
いま帰ったよ
今日もあなたの言うとおり
性に合わないことは全部切り捨ててきた
言葉を返すようだけれどみんなあなたのことを思ってだから
心にもない言葉を吐き出すときにはもう関係なんてないんだから
僕も何となく聞こえるんですが
でも大きな声には出せない
世界が淀んできたらみんな私には通じている
いつでも帰っておいで
あぁ母さんいつもあなたが恋人だよ
2010年12月4日土曜日
サーチャー
身元はよくわからない
写真は用意してある
これだけではわからないよ
心配するな寝床だけはしっかりわかる
道具は?
狙撃銃とトカレフ
そして至近距離用のアーミーナイフだ
アーミーナイフをくれ
そしてその晩
依頼を受けると確実に夜空に鮮血がほとばしる
仕事の手際のよさは天下一品だった
あとの処理は私たちが付ける
お前は家で待機しなさい
高級マンションの3階の一室
何故かインターホンを押してしまう
男は静かに部屋にはいる
1LDKと手狭だがなんでも揃っている
部屋の一室で猿轡をして縛られている女がいた
以前宅配ピザを頼んだ時トカレフをパンツに挟んでいる姿のまま出ていってしまった
躊躇している暇はなかった
男は女を監禁した
睡眠するときも女は必死で泣きながら何かを言っている
男は仮眠を取るしかなかった
人をさがしている
写真はないが役職はわかる
狙撃銃をくれ
昼の街
建物が所狭しと映えている
暗殺を昼に選んだのは最近夜にアレルギーがある
目星をつけた男は最上階から頭を狙い引き金を引く
あまり楽な殺し方では実感が希薄なのだが
何かに怯える自分に気付き始めた
人をさがしている
写真も経歴も住んでいる場所も分かっている
そうか
男はその写真を見て戦慄した
その婦人はね
お前のスパイなんだよ
なにか?
いや、ちょっとだけ見たことがあって
男は冷静になった
トカレフの弾倉をチェックした
家に帰る時インターフォンを鳴らさず
蹴破るかのように入った
銃口を構えた先には
誰もいなかった
ベランダの戸が既に空いていた
風が吹き抜けていた
女は少しの残り香も残さず消えていた
いつでもここから抜け出せる状態だった
男はまた戦慄した
海外に高飛びをする計画があった
もはやどうでもいい
2010年11月20日土曜日
ラヴアフェクト
普段何気もなく通る校門
忙しく男女が入り乱れながら光景を作る
男の格好はそこそこ
しかし女の格好はかなりイケイケが多い
ここは半分恋愛を求めて集まる場所でもある
おす
そう言って俺の方を叩くのは親友の田中
なんだ
昨日はだいぶ盛り上がったそうだな
いや
そうやって隠すところが遊び人の性だな
悪いけど今日は込み入ってるからまたあとで会おうな
そう言うと田中はゼミの教室へさっそうと消えた
誰か俺に目配せをしてるな
さっきから俺をチラチラと見る女
格好は清楚だが
まんざらでもないような気がする
俺は狭い構内ではかなりの遊び人だと名が知れている
恋愛観は人それぞれだが
俺は常に前を向いて生きていきたいし
横にパートナーがいて欲しいと思ったことは多分ない
かと言って女の本能に背を向けるのはかなり危険なことだと察している
クラブやサークルで知り合った女とはこれまで数えきれないほど経験した
皆割り切った関係を望んでいるのは確かだし
財布の中にはちゃんと避妊具を忍ばせている
しかし
最近ゴムを付けるのを拒む女が増えてきたような気がする
ゼリーやピルを勧め自由な性生活を謳歌するまでだった
ふと前を見ると
複数の男に囲まれている女
名前は冴子
こんなに貞操のない男が言うのも何だが
男が沢山くっついているほどつまらない女はいないと思う
ようx
軽く挨拶をすると
あんたまた文学部の女の子たらしこんだね
親の実家がさかなりの名門らしくてあんたの家に押しかけないといいがね
俺達はお互い自己責任でやっているんだ
覚悟のない人間とは関係は持たないよ
それより田中は?
ゼミの教室へ
また教授の尻追っかけてるんだろ
あいつは母性を感じる女性にしか寄り付かないからな
臆病なんだよ
自分を傷つけない優しいひとだけを求めてる
プラトニックラブだな
しかし俺も笑えなかった
母親との交わり
16歳の頃
普段キスくらいで止まっていた彼女が
突然暴発したのはこのころだった
風呂から上がった体を見せつけ
むりやりシチュエーションを盛り上げる
体のどこも熱くならない複雑な感情
ぼんやりと見ると母親
しかしよく見ると一人の若い女性
何時まで経っても射精できない
無為な時間がひたすら流れた
その頃だろうか
俺は女を一つの食料のように捉え始めた
周りくどい恋愛はゴメンだ
欲望を率直に唱える女性だけをひたすら相手をする
尾を引かないように避妊だけはしっかりとして
そういえば有の姿が最近見えないね
あぁ最近失恋したんだ
恋愛がもともと好きじゃない有を無理やりこじ開けてしまったんだ
好きでもないのにいつまでも何となく隣にいたんだろうな
あの何も言い出せない微妙な空気は見るに耐えかねんよ
あんたもあれくらい純粋だったら私から交際を申し込んだかもね
ははは
まんざらじゃないかも
俺は必要最低限の講義を受け
自宅のマンションでくつろいでいた
夜の12時を回ったところだろうか
突然チャイムが鳴る
誰だこんな時間に
ドア越しに外を覗くとだれもいない
何だいたずらか
俺は安心して外を確認しようとすると
パパ
静かな呼び声がした
見ると3歳くらいの男の子
なんなんだ君は
ママがいなくなったからパパのお世話になるの
俺は状況をいまいち判断しかねた
悪いけれど僕に奥さんはいないよ
そういうと思ってね
ママからこれ預かってきたの
そう言うと見せたのが写真付きのDNA診断書だった
一体どこで?
俺は頭の中がかけめぐってきた
完璧に避妊をしてきたのに
まるで密室で行われた完全犯罪のように完璧だった
俺は次第に動転した
ついに父親という自覚もなく父親になる
目の前が一気に暗転した一瞬であった
第二部へ
2010年11月18日木曜日
地平線
遺族はおろか被害者にも呵責がなく
反省の色が全く感じられず
更生は不可能に近い
よって極刑をもって償う
被告
何か言葉は
一切間違いはありません
刑の執行を切に望みます
死刑の独居房に入れられた俺は
一人満たされた生活を送る
レイプ殺人三件
未遂八件
十分に死刑が求めれる犯罪を犯した
独居房の生活は孤独だと思われるが
看守の態度は致せりつくせりで
既に哀れみでも同情でもましてや可哀想でもなく
表情が既に悟りきっている
約三ヶ月後
法務大臣から執行のサインが降りた
俺は目隠しをされ
死刑台に登る
恐怖は微塵もない
皆温かい態度で望んでくれる
ボタンのブザー音がなった
一瞬目の前が真っ暗になり
次第に満たされていく感じがわかる
あぁこれが死ぬことなんだな
そして
次の瞬間
うぁぁぁぁ
俺はいつの間にかベッドの上にいた
体は汗で濡れ
まるで悪い夢を観ている錯覚だ
あら
起きたの
アンタ誰だ?
あらやだ
自分の母親の顔を忘れるんですもの
気がつけば一人の婦人
たしか俺は極刑で死んだはず
いつまでも同じ夢ばかり見るんじゃないよ
きっとガールフレンドをしこたま作ってるのを神様が見てるんだよ
俺は無限のループにいる
死んだと思えば誰かの胸の中
しかも自分は俺の母親だと言いはる
なんども死のうと思っても
結局ここに戻ってくる
ふふふ
振り向きざまに母が笑った気がする
何がおかしいんだよ
お前は可愛いからそう簡単には死なせてはくれないだろうね
俺はその笑顔を見ながら
なぜかひきつりながら笑いが漏れてきた
どこへ行っても限り無く続く地平線はある。
2010年11月8日月曜日
神様に一番近い男
退屈そうに寝転がって尻を掻く男
俺は30歳のプータロー
たまにはいる日雇いのバイトでその場をしのいでる
テレビをみる時間が日に日に増えてゆく
何だ青年
するといきなり人の気配がした
ここだよ
誰ですか、いきなり
見ると仙人のような人間がぼんやりと見える
お前の不抜けた態度が本当に許せんのだよ
僕はどうせ社会の底辺で寝転がっている人間ですから
お前は自分の使命を忘れたのだよ
何か
お前は神だ
は?
ここに産み落とされたのはきっと神様がお前に人を救う使命を与えたのだ
なんだかいかがわしいですが
とにかくこれから徳を積むぞ
速く出かける準備を
そして俺は久しぶりに外の空気を吸う
住民にはみんなあいさつをするのだぞ
なんで見知らぬ人に?
馬鹿者
みんなお前の笑顔を待ってると思え
そう言うと
今度は道端にあるゴミを拾え
なんで?
馬鹿者
社会のゴミの責任はみんなおまえのせいだ
こうして俺は理不尽な老人をつけた
あぁおなかがすいたな
コンビニで何か買おう
最近はこんなものでしか栄養がないな
安いジャンクフードをたらふく買う
567円です
600円から
33円のお釣りです
馬鹿者
お釣りは全部レジの募金箱に寄付するのだ
こんなこと人前で言えませんけどね
僕は一円たりとも無駄にできないのですよ
そうか
ならばその一円すらもない人間はどうする
この世ではな
お前の想像を絶する飢餓に苦しんどる人が大勢いるのだ
少しは想像しなさい
俺は涙ながらに寄付をした
すると携帯電話がなった
隆
あぁ
今日はどうしようか
それはお前の彼女か
彼女ではありませんよ
よく話をする女友達です
そうか
ならばその子と結婚しなさい
なんてことを言うんです
あっちょっと今込み入ってるから
僕は結婚する意志はありません
そうか
じゃ、これから子孫を残さないというのかね
そんな
話が飛躍し過ぎなんですよあなたは、さっきから
お前は神の使命を与えられてるのだ
それをごろ寝でごまかした代償は大きい
じゃ次に行くぞ
俺は公園の草むしりにこれから向かう
なんだか理不尽なのだが
生活はリズムが出てきた
この際神だって何でもいいじゃないか
生き甲斐が生まれれば
2010年11月1日月曜日
果実の実る頃
といっても腹違いだから兄とは半分血が違う
私はもう十六歳になった
兄は成年になった
いつまで一緒に暮らして行けるのだろうと指で数えてる
信じられない話だが
私と兄の部屋はひとつづきになっている
だからプライバシーはないのだ
あぁ大学の単位が足りないな
兄はいつも学校のことで悩んでいる
もともと勉強の不得意な兄が就職しなかったのは本当に驚いた
研究がしたいんだよ
呆れた
そんなら一生懸命ポジション掴んじゃいなよ
私はバイトのことで頭がいっぱい
将来留学をしてみたいからその資金を集めてる
今日も兄と同じヘヤで悶々と過ごしてしまう
何見てんのよ?
何か?
着替覗いたでしょう?
そうなのかないいじゃない見て減るものでもないし
それとムダ毛は冬でもちゃんと処理したほうがいいぜ
バカスケベ
実はねお兄ちゃんとは初潮が始まる前まで一緒に風呂に入っていた
兄は結構オープンな人間だから下半身とか特に気にせずに入ってきた
私はまじまじとそれを観察していた
たまにお父さんとも一緒に入っていたから
いろいろな形があるんだなと感心していた
私たちはまるっきり似ていない
母親が違うだけでこんなにも違ってしまうんだ
私は気づいていた兄に対する高鳴る感情が日々大きくなるのを
時々胸が締め付けられそうなんだ
兄は最近アダルトビデオをしきりに購入していた
たまたま再生が終わったとき出くわしてしまった
兄貴もこんなの見るんだ
彼女でもさっさとつくりなよ
お前こそ簡単に貞操を失うなよ
なんてこと
私は処女だ
兄は目を丸くして
ごめんちょっといいすぎたよ
兄は数日後彼女のような人を連れてきた
紹介するよこれがうちの妹
彼女はとても気高くて兄にはとても似合いそうもないお嬢様だった
私は気づいてしまった
二人は既に肉体関係を築いてることを
その夜
私はクラブにいた
名前も知らない人と関係が持ちたい
ひっきりなしにかかるナンパを拒まなかった
今晩やらない?
私は一気に気を許してしまった
気がつけば鈍い痛みが股間を迸った
君やっぱりはじめてだね
優しくしてあげるよ
私はその男を張っ倒した
夜
家に帰って
お兄ちゃんは相変わらずごろ寝をしている
今日は遅かったな
済まない彼女とは散々関係をしてるんだ
兄は私の恋心を見抜いていた
今日は優しくするよ
兄は私を抱きしめようとした
何だ、俺じゃ嫌なのか
私は部屋を出て行った
涙が頬を伝った
他の男と寝たのはきっと彼女のジェラシーだ
もうひとつの声がこだました
ううんそんなじゃないよ
兄ちゃん大好き
2010年10月30日土曜日
フラッシュバック
またこんなところで出くわしてしまった
お気付きの方も多いと思われるが此処に書かれた文章はほとんど自分の実体験に基づいたものだ
そして女性観や恋愛観も切っても切れない
せっかく機会だから昔を少々振り返ろうと思う
Lime
普段大切にしている何気ないものとは何かということに基づいた
ちゃんとモデルは存在しているのである
モノクロームカーニバル
病院の一室で自閉症の少女を見て思いついた
この文章とは似ても似つかないヒステリックな人だったが
哀愁が漂う不思議な経験だった
オチに浦島太郎を持ってきたのはネタのパターンがないというのはなしである
クロスロード
自分がミュージシャンになればこうありたいという気持ちで書いた
文章には音楽が表現できないのだが
こういう文章にも何気に韻は含んである?
目覚めよ私
これはとても悔しく残念な作品
大事に温めようと思ったのだが
水をやりすぎていつの間にか枯れてしまった
at the party
些細な喧嘩から大げんかに発展し何もかもを許せる結果にしようとした
やはり持続しなかったようだ
version
青春時代を実写で夢中になれたらという願望で書いた
価値観の違う登場人物をどんどんぶつけようと計画していた
バレンタイン
日常でモヤモヤと沸き起こるフラストレーションを表現した
実は神様はいつでも近くに存在する
みだれ
これは実際の家族の相関である
事実を面白く羅列すればよかったのだがこれもボツに
振り返ればあんまり完成したものがないのだ
しかし要望があるのならいつでも準備はできている
すなわち新しいネタの枯渇を予感しているのだよ
本当に
2010年10月29日金曜日
結婚
いつものように友達と永遠とくだらないことをしゃべる
でもなんだか最近表情が浮かないね
その指輪
うん
彼にもらったんだ
ダイヤモンドまではいかないけれど
きっといまの彼に出来る最高の指輪
ふぅ
なんだかため息が多い
結婚は確かに出発点
お互いがこれからの旅路を手をとりあって確認する
彼のどこが好き?
一途なところが好き頑張ってる姿が好き
自分が一番やさしくなれる瞬間なんだ
結婚式は何を着ていこうかな?
あんまりそう言うのは気にしなくていいよ
きっと今まで通り等身大の形で生きて行ける気がする
とりあえずおめでとう
そしてこれは一区切りに過ぎないことも
まだ自分の人生は始まったばかり
2010年10月28日木曜日
女神
窮屈な社会生活
ストレスの貯まる日々
少しの夢を追いかけるため辛いノルマをこなしている
女運はなく
未だに独身
たまに通う風俗店がストレス解消
よっしァー
ボーナスが入ったな
いっちょ景気づけにソープランドに行くか
景気よく店内で指名する写真を選んでいると
すいません今日は新人の研修の日でして
すべて風俗嬢は出払ってます
そうか
じゃその新人でいいよ
そうですかしかし本番は禁止ですよ
俺は室内に入ると
自分の目を疑うかのような美女がいた
あ
はじめまして今日は宜しくお願いします
俺はあれよあれよといううちにすっぽんぽんになっていた
彼女はぎこちない手つきで俺を触ってきた
すいませんちょっと緊張してて
その時、彼女のチラリと見せた美乳が
理性を爆発させた
あっ何をするんですか
彼女を父をまさぐった最初は嫌がっていたが
うぉぉぉ
逆に吸いついてきた
激しかった
そして
禁止されていた本番をしてしまった
終わった後俺は彼女の交際を申し込んだ
こんな出会いだが二度とこんな女には巡り会えそうにもなかったのだ
誰かが言う
でもさ出会いの種類はあれど最後はフィーリングだよね
彼女は付き合い始めて突然俺に言った
私、女神なの
は
最初、男と交わることはとても勇気がいると思った
でもこの道しかないの
何を言ってるのかサッパリだけれど
これまでどおり普段着で付き合おうよ
あなたに奉仕する
これから
二人の間には自然と子どもができた
しかし結婚はしなくていいといった
さりげないところで色々なアドバイスを貰うことが増えた
俺は夢の実現へコツコツ進んだ
しかし彼女は俺の母親とそりが合わなかった
そのことがどうしても自分を苦しめた
生活は軌道に乗りそうで乗らなかったのだ
とつぜんかのじょは
俺に
別れましょうと切り出した
俺はまたワケが分からなかった
自分が信じられなくなたったの
しかし
あなたのこともそう
なんとも腑に落ちない別れ方をしたのだが
それから先
俺はなんども女性と遍歴を続けてしまう
しかし
どこか母親でもない
不思議な魅力を持った女性とばかりだ
男をはるかに凌駕した力
それを女神という
最近、自然と笑顔が増えてきたような気がした
2010年10月23日土曜日
2010年10月22日金曜日
五月雨~みだれ
誰も立ち入れない場所
左手にあるもぎたてのかきを頬張る
川のせせらぎ
山のざわめき
鳥の鳴き声
皆一体となる
頭が自然と浄化されてく
こんな時間がなければ俺は腐っていくところだった
若、そろそろ時間ですが
後ろで待っている家来たちが迎えに来た
そうだな
俺は本丸に帰ろうとした
ときは西暦1598年
いまの歴史とはパラドックスを起こし
産業革命がいち早く起きた
パンゲアと呼ばれる大陸
俺達はその極東に住んでいる
ジパングという
そして園にしにある繁栄を極める帝国
ブリテンという
二つの国はともに繁栄を築こうとしていた
俺達はちょんまげや刀すら捨てられない世の中に
相手は既に拳銃やテレビやラジオを持っている
俺達の文明は開花した
しかし昔の古きよきものを引きずって
相手から言えば奇天烈な国になってしまった
本丸で静かに食事をとっていた
がらんどうな空間でいつも独りでメシを食う
若、母上がお呼びですが
突然女中が入ってきた
そうか、しかし食べ終わるまでここには入ってはならないぞ
俺は厳しく注意した
母は本丸の離れた女だらけの空間にいる
普段は足を踏み入れないのだが
最近女たちの動向がおかしい
ちょうどいい俺も話がしたい
母は14歳で俺を出産した
世継ぎを生むために半ば強制的に結婚して
父親との愛情は多分余り無い
その複雑な関係が俺をまた苛めるのも事実
真一
ここにいたのですね
母上
何か御用ですか
これ以上自分の時間を必要以上に持つのはやめなさい
あなたにはやるべきことがあるのです
例のブリテンのことですが
あぁまた彼女に会いに行きます
一つ忠告します
あそこは女だけで作られた国なのですよ
何か?
お前にはまだわからないのです
母は意味深な言葉を残して去っていった
またブリテンから物資が届きました
あの国は世界中の至る所からいろいろなものを集める
見たこともないものがゾクゾクと送られてくる
甘いモノはあまり食べたことはありませんか?
これはバナナと言ってこうやって皮を向いて食べるのです
若、そろそろ父上が帰ってきますが
あぁ今日は会わないと伝えてくれ
夜
爺やと風呂にはいるのが日課だった
西洋の風呂はこうやってみんなではいるのが嫌いなんじゃ
背中を流しあうこともしないだろう
文化の差以上に埋められないものがある
それが男と女じゃ
ここには男と呼べる人間は三人しかしない
しかし
ユッミーがお前の顔をしきりに見たいと言っておるぞ
俺は背中を流す手を止めた
3日ごまた会いに行きます
しっかり護衛をつければ心配はないな
父は疲弊していた
あらゆる国に根回しをしなければこの国は崩壊するかも知れない
特に俺はこの国に対するビジョンがあった
これからはオープンにならなければいけない
ブリテンの目覚ましい成長を横目に見てそう思う
またあなたなの
母は父にいつも辛く当たる
真一をあの国に暫く贈ろうと思う
もう交渉は決裂状態だ
あなたは知らないのよ
その場しのぎその場しのぎ
これは婆やのアイデアだ
お前は文句を言えない
女の恐ろしさを知らないあなたに言うのは酷だけれど
あなたは既に男としてはお払い箱なんだから
すまん分かってくれ
あんたなんか大っきらいよ
明朝
大きな軍艦が港についた
護衛艦三隻、駆逐艦六隻
船から出る煙ははるか天につながるかのように仰々しい
物々しい旅立ちの始まりだった
2010年10月20日水曜日
ロマンス
いつも見慣れてるせいか
特別な感情を抱かない
なんにもない日常だけれど
普段いる家族
友達
けど決して退屈ではない日常
よく目を凝らしてご覧よ
普段見る公園の土管でもどこか不思議な場所につながってるんだ
同じ瞬間は二度とないんだよ
こんな日常にいつもよぎる言葉
自分だっていつかは冒険に出たい
でも頭の中でこんな感じだろうという先入観がある
同級生だってみんな大人じみていくけれど
無垢な心は少しづつ削られてゆくんだ
そろそろ夕餉の時間だ
鼻を優しく包む食べ物の匂いがした
すると隣にいた黒猫が急に鳴き出した
大きなあくびだった
私は暫く見ていると
顔を手でしゃくる動作をした
色眼鏡をとろうよ
いつでも僕は君をつれてってあげる
いつも見る高台の住宅街
太陽の光が綺麗に映える街
凹凸レンズで見るかのように街は丸くぼんやりとした
2010年10月19日火曜日
2010年10月13日水曜日
生命
読む進む際には十分注意してご覧ください
俺は世界を見限っていた
既にすべてが手に入っていた錯覚だった
生まれた時から
故に優しい言葉をかけられたこともなく
自分からかけたこともない
親は大会社の社長
親族は市議会議員から警視庁の警視
VIPのオンパレードだった
やることは全て遊び
女遊びからドラック
やることを片っ端からやる
親たちが後の始末をつけてくれるのだから軽いものだった
今日は廃人同然にインターネットカフェに寄る
声をかければたいていの女はついてくる
今日も軽い気持ちだった
カードを定員に差し出すと
はい、四時間パックのa席ですね
こちらは禁煙になってますがよろしいですか
大人びた印象が残るがあどけない女
硬い笑顔で説明する
俺は30分後に部屋に来てくれと誘った
ネットサーフィンも飽きた頃
女が現れた
ロングヘヤーがなまめかしく
俺は声をかけた
女はまんざらじゃない素振りを見せた
そして何かが自分の中ではじけた
女を自分のものにしたい
その一言だった
突然後ろから羽交い締めにし
口を閉じさせると
女はかすかな声でやめてと言った
何だまんざらじゃなさそうじゃないか
俺はそう思い
いいだろ
その一言で始まった
女のスカートとパンツを脱がし
自分の下半身をあてがった
鈍く室内が軋む音がした
まさか他のネットサーフィンをやっている連中は気づきもしないだろう
事が果てると
俺は自分の名刺を出した
女は複雑な表情をして受け取った
やはりまんざらではなかったんだな
俺は呟いた
でもこんなこと誰にも言えません
どうしたらいいのか
俺にいつでも教えろよ
お互いの電話番号を交換してその後だった
俺は高台のマンションを独りで借りて住んでいる
親が毎月仕送る金と相談してそこに住んでいる
故に孤独なときもあった
遊び人だけを呼んで乱れる夜をしてもいい
しかし、遊びが派手になればなるほど心はすっ飛んでしまう
どこかが孤独なんだ
俺は女を呼んだ
名前をなんども聞いているのだが教えてくれない
家事を進んでこなしてくれ
俺は家政婦のように彼女を扱っていた
無論肉体関係は最初の時以外はない
ここが俺の肝心なところで後腐れのない一番の方法だった
俺は少しよぎるものがあった
彼女の微笑が丸くなってきたな
こんな時誰かがいてくれたら
俺はいつも思う
病気なとき、悩んでいるとき、苛まれているとき
結局親は金に自分を投げ出したに過ぎなかった
肝心なことは何一つ言い出せなかった
彼女を呼び出す日々が続く
まばゆい日があった
それは雪の日だった
熱を出しているのにもかかわらず
俺は雪と戯れた
彼女が倒れた自分を解放してくれる
そう思った
知り合って10ヶ月近く
彼女のお腹のあたりが気にかかるようになった
確かにボール大の大きさのお腹
普段体など見せ合わないので俺ははっとしてしまった
まさか
俺は彼女に解いだ出すのが怖かった
恋人ではない
しかし遊びではない
そんな微妙な関係が嫌なのだ
割り切れない
しかし彼女は告白をした
幸せそうにうつむき
あなたの生命が宿っていますと
俺は言った
おろしてくれと
慰謝料も出す手術代も出す
これ以上の関係はやめようと
彼女は悲しい顔をした
そういうと思っていたわ
今なら言えるけれども
あんたダサすぎるよ
自分より弱いものには卑屈でプライドだけは高くて
彼女は持っていた刃物で自分の腹部を斬りつけた
彼女は破水した
俺は無我夢中で救急車を呼んでいた
お腹の赤ん坊は無事
しかし彼女は出血多量で帰らぬ人となった
十年後
俺は軽い服役を終え
食卓の準備をしていた
お父さん会社に遅れるよ
お前こそ学校は
お父さんのことが心配で先に行けないよ
まだあどけない小学生の彼女
彼女はまばゆかったほんの少しぎこちない笑顔を見せて
自分の中で本当に守りたいものができた
2010年10月3日日曜日
Home
整然と立ち並ぶ住宅街
どこの家にも鍵がかかってない
誰かが呼ぶようにその家はあるのだ
世界があるように自分の世界
それは家庭
長いようで短い人生で悟ったこと
すべての感情や本能は
最後にどこに行き着くのか
それをつぶさに観察していると
最後は家庭だった
そろそろ自分の家に帰らなくては
朝目が覚めると
三人でくるまって寝ていた
母親と父親ではなく
二人の妹
家族は五人
正確に言えば二人の妹は
母と父の純粋な子ではなく
別の母親の子供
だったら実の家族とは思えないのだが
この絶妙な連帯感がまた真の家族というものを教えてくれる
内容は割愛をするが
人は複雑な家庭環境を背負って生まれる
だったらそれを楽しんでしまえばいいのである
家庭とは過程と書くまた仮定とも書く
家庭はなぜか成長する
それはまた別の家庭をいつか持つことによって進化する
家庭とは発達段階の未成熟かつどんな出来事があっても癒せる
素晴らしい集合体でもある
2010年9月1日水曜日
ABC
特にITインターネット関連の技術は飛躍的だった
学生の頃コーヒーショップで何気にいじっていたノートパソコン
電子メール、掲示板、チャット
コミュニケーションツールの一角を担っていたのかも知れない
日本国内のシェアは80年代初頭
国民機と呼ばれたPC98シリーズ
その後規格統一の波に飲まれ消えてしまったが
いまでも国内のニーズに合わせたパソコンというものは何ものにも代えがたい
そしてOSの時代へと変化し
パソコンは大きく分けて三種類程度に収まる
インターネットの爆発的普及から
その後ブラウザ戦争が起こる
インターネットだけで利用を済ます人や簡単なアプリケーションが動くブラウザで良いという人もいる
そして次の時代
我々はまた本来の目的
コミュニケーションに帰り
SNSの時代が到来したようだ
もちろん簡単なアプリも動かせるのだから
将来ここで企業を起こせるような時代が来るのかも知れない
ざっと見つめ返して
パソコンはマクロの世界からミクロになっている
それでいて繋がりを求める面では広がっている
我々のコミュニティは実際縮小の一途をたどっている
それは社会問題となっているのだ
街で見かける人も殆ど一度しか面識のない生活
無論、挨拶もない
家族も核家族の高齢化で一人暮らしの老人も珍しくはない
何かとつながりを求めなくては人間は弱った時生きてはいけない
実際問題として今画面で向き合っている人はどこかの海の果ての異文化の人たちだらけかも知れない
外に出ても全く関係の無いことだと思う
しかし、このインターネットは誰がどこでどうやって繋がっているのかわからない社会なのだ
実際見つけようと思えば近所でコミュニケーションを取りたい人は多分大勢いるのかも知れない
出会い系の氾濫から
この社会はすごくコンタクトの取りづらいものだと感じる
社会には罪はないし
原因はどこへ行ってもわからない
最近、私は都会で疲弊しきったとき面識のある人でなくとも目配せくらいはしたい。そう思う。
2010年8月28日土曜日
星の見えない空の下で
みんなそれぞれ違ったものをもらい、それを大事に使い
結果を受け入れる
だけど、今まで生きてきた中で確かなものがある
人生の答えはきっと家庭の中にある
クタクタにくたびれた心と体を今日も癒してくれるそれが家庭
自分の家庭は三人家族
妹は既に独立し
父親は週に何回か帰ってくる程度
母と祖母の三人ぐらし
これが基本だと思っていた
幼少の頃から
父親の後ろ姿をあまりみず大人になると自分が親になって大変だと思う
テーブルで三人では多すぎる料理を今日もつまむ
最近お父さん姿見ないけれど仕事が込み入ってるの?
母は積極的に父の話をしようとはしない
ねぇ聞いてるの?
さぁそれは彼のことだから。。
おばあちゃんは笑顔でフォローするけれど
きっとどこかが間違ってるんだ
はっきり言おう
父親がここまでダメな人間になったのはきっと母親のせいだ
既にものごごろついた頃から父と母の愛情は冷めていた
妹はそれをいち早く察知し
さっさと家を出て行った
きっと君は長男だから
慰めの言葉にもならないけれど自分がこの家にいる理由を何となく考えてる
なんだか冗談にも似た話だけれど
自分には姉もいたという話をちらほら聞くようになった
無論冗談だと思うけれど
まんざら冗談ではないのではと思うほど真実味がある
既に生まれた時から失踪しているとか
父が見捨ててしまい別の家に預けられてるとかいないとか
ともかく
家庭はとても重要
いつか理想の相手と牧場のようなほのぼのとした家庭をもちたいなと思う
それは自分の中では感じている
お婆ちゃんと母の軋轢であったり
家庭に戻りたがっている父親
いまの自分を何とかしたい妹
計画はいまでも続くのである
2010年8月2日月曜日
2010年8月1日日曜日
2010年7月24日土曜日
天頂バス
一人いつまでも
答えなんてどこにもないし他人なんかにすがっても少しもいい気がしない
独りよがりの孤独な旅
時計は静かに進む
誰かが遠くでサインを送った
もういいのかい?
知らないよ
誰かがまた遠くでサインを送った
またくるよ
もういいよ
サインの数は次第に減っていく
周りに何もかもが消えたとき
何かがはじけた
急に
あっと気づいたこと
納得のいくことは待っていてはいつまでも叶わない
足を一歩だけバス停から遠ざけてみた
少しだけため息が漏れたけれど
始まったことがある
もうこれからは自分を信じなくてはダメ
遠くで何かが始まってる
既に
僕の一歩はかすかだけれどこれはきっと大きなものだ
2010年7月20日火曜日
2010年7月17日土曜日
マンション
結婚や家庭、伴侶を持つことも願う
結論から言えば幸せとは何かが起こっている現在であり
不幸という何もかもを奪われた実生活というものは多分存在していないのである
そう考えるのなら
生きていく自体が幸福で
大きな幸福を狙うよりも小さな過程で噛み締める方がよっぽど理にかなっているのである
幸せを探す暇があるのなら
今ある生活を少しだけ楽しく変えてみるのがいい
気づいていない幸せというものはほっておいてしまうと発酵して別なものに変わる
幸せになるのではなく幸せを見出す
ほんの少し異なる言葉でも実態は大いに違うはずだ。
2010年7月10日土曜日
7月だより
自分の精神は知らず知らずのうち侵されていた
人はひとりでは生きて行けない
ただ時に本当に一人になってみたい時がある
これはきっと誰かを求めているシグナルだ
小洒落た本屋でタイトルを何となく見るのが好き
中身は読まずとも装飾の雰囲気を鼻で楽しむ
文学とは何かと考えた
それは読者の両腕をぎゅっと引っ張り揉みくちゃにするくらいの刺激がないと
あくまで私見
締切りのないところで一度悠々と描きたいものがある
誰のためでもない純粋に今の自分を象ってみる
右手にはめた腕時計はほとんどアクセサリーだ
待ち合わせをする以外時間とは自分が過ごした量の目安であった
ただそれだけじゃないこともなんとなく分かるけれど
珈琲と煙草
朝、暖まるのが遅いエンジンを急激に変えてくれる
ただ最近珈琲がぬるく感じ
まるでミルクチョコレートを飲んでる錯覚で
タバコは自分の病んだ精神が天に登っているかのようだ
ポリシーとしてはお酒はなるべく飲まず
献上するものだと思う
無精髭もたまにはいいと思う
結構おしゃれになってるから
ともあれ夜明けと深夜
この二つの時間に仕事が出来れば贅沢この上ないのだが
それから
意識に気づいたら自分はこの世に生まれていた
そんな漠然としたイメージをいだいてここまで生きてきた
時間はもう戻らないし
肉体も徐々に老化する
ただ今あるのはもっと世界は広いのではという錯覚
昆虫図鑑を見ても植物の図鑑を見ても
もっといろいろな種類があるはずだ
宙を見て思う。
新しいことを今まで学んできたことで人生を消化できてきたと思わない
希望という名の燦然たる冠が
明日は多分晴れるかなという前向きな部分が自分を揺さぶってきた
今僕は妄想の世界に迷い込んでいる
この世の中を限界まで想像していいのだろうか
やはり虚しいし叶わないと落胆してしまう
しかし新しい妄想で自分を進化させなくてはいけない
そして全ては着実に進んでいる
自分のイメージは美しく有りたいということ
今この世の中に問いかけられている
やるの?やらないの?
自分の足ですすめるのなら
質問はいつもシンプルだ。
2010年7月5日月曜日
設計
かえって近くのものに例を当てはめると答えが出る時がある
まさに子供の思考というのはそういう部分が多かったからこそ新鮮だった訳だ
童話や寓話を見ても微塵も感じなくなった部分がある
それは生きている間に体験することはないだろうという漠然とした意識
悪化してしまうと荒唐無稽すぎるという結論に達する
そもそも関連付けのできないものなど存在するはずもなく
そして実現不可能なものは想像すらもできない
それを考えるなら大人の未来のニーズを満たすには子供のような世界がまた必須となるのだ
紙に書いてそれが実現不可能なのは過程が抜け落ちているだけであって
努力がまだまだ足りないだけなのかも知れない
2010年7月2日金曜日
gift
だから本当はどんなものかはわからない正直
だけどいろいろな力を借りてる実感こそ生きている証
命よりももっと重要なものがあるとする
それは多分魂の座
何か別のものに生まれ
生まれ変わりそしてまた生まれ変わっても人間、
生き物は失った自分の座を保持しなければいけない
明日死んでしまったらひっくり返ることはないにしろ
同じ場所に生まれる保証はない
だから命も大事なのだ
大切に命をすり減らさなければ望まない場所へと飛ばされても何も言えない
これは自分が輪廻を信じてるから言えるのであって
命は一方通行だと考える人には通用しないのかも知れない
街を歩けば、あっあの人誰かに似てるなと思うことが多々ある
これは決して他人の空似ではないはずだ
現実という掛け替えのないボードの上でこれから何度出会いと別れを繰り返すのだろうか
多分先祖から与えられた命、魂
与えられたものそしてこれから与えていくもの
その両方は確実に存在している
2010年6月16日水曜日
プロローグ
中にはまん丸とした赤ん坊が一人
中で
どんなことがあっても母親の方を向かなかった
ただ一点
前を見つめて
おしゃぶりを半ば強制的につけられた姿は
何かに向かい何かを得るために今は進むしかなかった
赤ん坊は孤独だった
ちょうど買い物の時間になると母親はカートをいつものように忙しく押す
これが欲しいのね
欲しいと今言ったわね
赤ん坊の有無を聞かずに母親は買い物を続けていた
赤ん坊の複雑な感情は時に現象として現れた
頼んでもないような吉報が届いたり
人選に恵まれたり
くじ運にもギャンブル運にも恵まれたり
ただそういうことは彼女にとっておまけに過ぎなかった
生きることそれはこの赤ん坊を守り通すこと
ちょっと
そう言われたのは通りでのこと
ひどい剣幕で因縁を路上でふっかけられた
あなた今こすったでしょ
そんな、わたしは
赤ん坊を大事にしすぎた反動が現れたのはこのころだった
街をすれ違ったり家にいるだけでも何かと他人から責められる毎日
不幸ではない
しかし、彼女の精神が疲弊してきた
ある日
散歩一緒にしていると桃の花が綺麗に咲いてきた
あらきれいね
そう漏らしてしまうと赤ん坊はついおしゃぶりを外し
一生懸命母親にあれが欲しいと訴えた
彼女は優しかったから
赤ん坊の最初の願いを聞いてあげることにした
いつもは絶対に放さない手押し車を彼女はつい離し
一枝をちぎって持ってくることにした
。。。。
いつものように赤ん坊は待っていた
お待たせ
取ってきたよ
誇らしげに見せると既に赤ん坊の姿はなかった
温もりも存在も確かに感じるのにそこにはいなかった
泣き崩れた彼女は
心に誓った
もう二度と自分の心の弱さを許さないと
漆黒の闇
柔らかい布団
丸まった姿勢
これがあればいい
白く塗りつぶされた俺の顔
今は何ものでもない
突然目が覚めた
1DKの寝室兼リビングルーム
突然お腹が鳴る
何もしてはいないけれど腹時計は正確に鳴る
何か食べるものはないかと冷蔵庫をあさる
少しの調味料しかない
こんなとき
誰か一緒に食べてくれる人がいれば
そう感じる
だって友達はいないから
本当に優しくされると涙が出る
心が凍てつく寸前だった
自分の扉を開ける寸前までは
孤独は時に救いようのない絶望を産む
うなだれるしかない
ベッドで布団を覆いかぶさるようにまた被った
何も今は聞きたくない
何も今は見たくない
あるのは悠久の時の流れだった
2010年6月10日木曜日
テンダーテンダー
嘘も平気ではつけないし騙すなんて頭もない
ましてや殺生なんて怖くてできない
良い人ではないけれど
どこか変わっている
白いカッターシャツに紺のジーパン
自分では一番にあっているシンプルな服装
今日も散歩をするが
なにかやりきれない気持ちでいっぱいだ
ゴミは見つけたらなるべく拾う
人と合うときは目線に気をつける
何気なく日常を過ごそうとしても
いつになくごった返してしまう頭の中
コンビニの募金箱にお金を投入して
その後会計のお金が足りなかったり
スーパーで正直に手にとった食品の賞味期限がきょうだったり
好きな人に何時までも自分の気持を言えなかったり
何かと上手くいかない人生を
彼は時々ふふふと笑う
その笑いからなのだろうか
どんなことをしても幸せになれるのかもと気づき始めた
幸せは自分からはこないという
しかし自分からそこに至れば
常に至福の時間と言うものはないだろうか
ミスや失敗を時にあっと声にだしてしまう
挫折で起き上がれない日々が続く
きっかけは
それらを許すことから
そしてそれを他人に向ければ優しくなれる
思いっきり後悔して
傷ついたはてに生み出された感情
彼にとって苦しみや痛みは決して意味のないことではなかった
考えるなら幸せというものは
苦しみ、辛さ、痛さ、絶望、失望、諸々の上に咲いた徒花ということになる
人生には波があるのだから
決して悲観ばかりが全てじゃないことが何となく理解できるようになったのだ。
いつかこの傷も癒える
そしてすべての感情が開放される時がくるだろう
2010年6月5日土曜日
Post
誰にも寄せ付けない比類なきパターンとスピード、そしてパワー
俺のポジションはポスト
シュートを打つことはあまりなくとも味方のシュート筋を開ける役
ハンドボールはゴール前で如何に華麗に舞うかが見せどころだ
その瞬間は自分だけでいい
キーパーに弾かれてもついてなかったと思うだけでいいんだ
試合は行うにつれどんどん険しい敵が増えてくる
パターンを身につけよう
仲間との連携をもう一度練り直そう
考えることは沢山ある
それでも試合は楽しい
ドリブルで立て直すときでも
味方にパスをするときでもいつでも考えている
この時全てが幸せなときだ
放課後の体育館
独りゴール前でシュートの練習をする俺
ボールを脇に抱えて思いっきり汗をかいていた
よぅ
朝練の後は放課後で居残りか?
タッパが190センチはあろうかという日焼けのまぶしい男が立っていた
名前は加藤
独りの練習のほうが楽しくて
これは居残りなんてものじゃない
ポストにしちゃがむしゃらすぎるな
少しは監督や仲間と打ち解けろよ
お前のシュートの道筋を開けるとき
感慨深いんだ
何をやるにしてもオマエのことが少し理解出来ているような気がする
加藤
俺は羨ましいよ
いつもありがとう
そんな言葉がいつも思い浮かぶポジション
華麗なゴールには御膳立てもアシストも必要だ
明日の練習紅白試合だそうだ
前田
レギュラーを不動のものにするチャンスだぞ
あぁぬかりはないさ
以前気まぐれでシュートをはなったことがある
その時のキーパーの放つ眼光が忘れられない
あまりの鋭さに反らしてしまった
自分の素直なゴールに対する飢えを
もう素直なボールを放てない
それ以来道筋を開けるポストに専念しているのだが
いつだってゴールを狙える位置にいるのなら狙いたい
おれだってまだあの瞬間に喜びを感じたい
全ての結界から解き放たれその先へと進んだ世界
もう休めよ
体調は大事な日に備えた方がいい
汗が頭皮から吹き出している自分を見て加藤は言った
そうするよ
俺はイメージトレーニングに切り替えることにした
2010年5月29日土曜日
今どこで誰と何してるの
ふーんそれで
ぜひ合う瞬間を確かめたいの
お前さぁ
自分のことばかりだからそういうところは苦手だよ
私は本気よ
冗談とも思えるようなやりとりも自分はぞっとする
彼女を最初に抱いたときプルトニウムと真理を一気に取り込んでしまった
またあの女に会ったのね
きょうは鋭いひっかき傷を首筋に残していった
欲しいものは俺しか無い
故になんでもできる
時に外の空気が吸いたくなってももう檻の中から出たくない
彼女は最初から頂点にいる人だった
後にも先にもこれ以上の女はいない
最後で最初よ
それが彼女の口癖
しかし彼女は孤独だった
その姿が何となく好きで何となくわかった
いずれにせよ態度をはぐらかしている自分に決別が必要だった
もう人を愛してもいい
今までその場しのぎで終わっていた恋愛もこれで最後かもしれない
答えを見つけ自己解決で終わった恋愛
しかしそれらと違い今回は答えが無い
彼女の特技は尾から放たれる毒だった
一度回ると彼女を貪らないと終わらない
まさか愛欲ですべてを失い何もかもを悟るとは思いもしなかった
今日もおみやげを買って彼女に会いに行く
珊瑚のアンクレットだけれど気に入るかな?
彼女は真の意味で女性である
2010年5月23日日曜日
時空
時計をいつもぼんやりと眺めていた
これは一体何を表しているのだろうかと
そのうち循環する宇宙を見立ててこれは宇宙の現在地を表しているのだろうと思った
もちろん針の中心地は自分
これに合わせてコンパスがある
地球は誰もが自由に行き来できるから
自分の足で方角を決め進まなくてはいけない
あくまで世界全体が中心
そうなると宇宙というのは意識の世界であり
この地球は考える世界、イメージした世界だということになる
どんな場所にでも行き来できるとはいえ限界はある
しかしだ
どんな人間にいつ街を歩いて出くわすかは分からない
宇宙に出られなくて嘆くことより今現在現実で出会う出会いを大事にすれば
宇宙人、異星人などそこら中にいるのだと思う
また時計を見るとこの時間は心地よいという時間がかならずある
それが誰の意識なのかなんの意識なのか
これからゆっくりわかることだろう
というわけで自分の足でないとこない現実
常に中心で巡っている宇宙
そしてはるか遠くの夢の世界
私たちはこの三つの世界を基本的に大事にしている
2010年5月20日木曜日
Love
性欲の延長だよと誰かはいう
なるほど愛の究極は愛欲だ
貪るように求め合うというのは愛の形なのだろうけど
ならば母親から与えられる無償の愛はどうだろう?
何時まで経っても腐ることはないし
またどこへ行ってもなくなることはない
既に体の一部なんだから
夢がピッタリ合った人との恋愛もまた楽しいのかも知れない
素質が全く真逆な人との恋愛もまた楽しいのかも知れない
恋愛はする暇がなくなっても
いつでもできるものだと思います
別に肉体関係だけが全てではないし
遠くで感じるだけでも立派な恋愛になると私は信じている。
いつかさ、通りですれ違ったら
忘れられないくらいの視線で釘付けにして欲しい
きっと遠くない将来二人は関係を持っているから
2010年5月16日日曜日
internets
たしかにインフラやサービスは充実してきたなぁと思う反面
目新しいものはメッキリ少なくなった
ワープロにせよ画像処理にせよ、表計算にしろ
昔からあるものでこれから先なにか目新しい生産技術が生まれることを切に望む
今年は電子書籍の台頭で何らかの変化は現れると思う
個人的にデザインの分野でパソコンは重宝するので
もしかすると3Dの分野で何か一花咲そうな雰囲気である
セカンドライフというサービスも見逃せないのである
実際SNSでは推し量れない場の臨場感というものは
これから先必要である
もしかすると仮想空間だけで食べていける社会がくるのかも知れない
ネットゲームの錬金術が何かしら問題になったが
要は買い手の需要ではなくて
売り手の表現力と訴求性にかかっている
私はまだインターネットは過渡期だと感じている
特に今の双方個性の薄いSNSを見てそう感じているのだ。
2010年5月3日月曜日
2010年5月1日土曜日
描写
そう言い渡されて原稿の山をどさりと返された
編集室のど真ん中で今日もダメ出し
俺は漫画家
気がついたらいつの間にか漫画を書いていたから自然とそうなった
でも売れない
デッサン以前の問題なんだ
基本的なことが抜け落ちている
つまり何が言いたいのかわからないよ
そうですか
また出直してきます
つまりこういいたいんだ
書きたいんではなく書かなくてはいけない
家に帰ると
母親が夕ご飯の支度をして寝てた
家族は三人
子供と母親
妻は愛想を尽かして出て行った
趣味は特に無い
あら、コレいいわね
いつか言われた言葉
学生時代陶芸をかじっていたこともあってか
暇つぶしに粘土で器と湯のみを作ってる
色とといい形といい
いいセンス持ってるわぁ
自分でもわからなかった
ただ粘土をこねているとき自分は素直になれた
じっくりじっくり自分の形を整合してく作業
ただ好きではない
そこまでは
これからは自分の好きなことより
人が求めることをやらなきゃだめだよ
そう言って妻は出て行った
なんとなくわかる
今日は休日
3歳になる長男と
ラーメン店に行く
真っ赤なカウンターで元気なおねぇさん
サッちゃんと呼んでいる
いつも忙しい時でも笑顔をみせてくれるから
いつものヤツください
そういうと
カウンターにはラーメンと餃子
ビールが一本
子供はいつも黙々と食べてくれる
俺より察しがいいから
いつも頼りにしている
横を見ると
同じようなペアが一組
四歳くらいの女の子を連れた
俺と同じくらいの中年
女の子は今日あったことをあどけない笑顔で喜々と話していた
最近パチンコ屋でよく見かけるようになったな
ギャンブルをするときは人生落ち目だ
何となくあいさつをする
帰り道
なぁ
なにか欲しいものがあったら言ってももいいぞ
別に
相変わらず息子は黙々と自分の道標になってくれる
次の日も
売れない原稿を持って会社へ向かう
なにかサラリーマンにも似たような感じだが
気持ちはどこかに向かって描写しているはずだ
その描写がなんなのか
どこに行き着くのなんて知らず
少し頭をかくと
息子の気持ちがが何となくわかったような気がした
2010年4月28日水曜日
ウォームアップ
他人と比較をするとたいてい憚ってしまう
問題は自分が本当にどうありたいか
宇宙を学ぶことにつれだんだんと分かることがある
それは今現在生きている世界はその縮図でもあること
だから自分の環境は無限大
人もそうなのかも知れない
自分のやりたい事は
実写、テレビゲーム、音楽、Web
だいたい肉付け程度に固まってきているから
後は取っ掛かりを探すだけ
その最初に述べた他人との比較と今ある環境のありがたさを理解していない自分
それらが大きく自分にのしかかっていた
言い訳は後からでもいい
失敗という言葉が決してありえないと言うことも証明したい
そういうわけで開き直ってマイペースで行きます。
2010年4月24日土曜日
Tools
今よりもずっと手間のかかる形態だった
最近ではタブレット端末や電子書籍の台頭で
否応無く変化が求められる時代となった
問題となるのは個人は時代とともに変化するのか
それとも変われないものを引きずるものなのか
電子化は当に自分のようなオートマチックなものに慣れているものには最適で
当に鬼に金棒なのだ
しかし自分はタッチタイピングをやめようとも思わないし
原稿用紙を完全にすてようとも思わない
棲み分ける
それがキーワードである
率直な感想というのは行き詰まったとき
たまにひとつの道具にあきてしまったとき
新しい空気を入れるためでもある
変な話
これは紙にしか書けなかったという文章は五萬とあるし
タッチタイピングはわかりもしない漢字を変換できる良さがある
道具の数だけ物語があるなら
そして人生の1ページが物語になるなら
大いに越したことはないかも知れない
道具はあくまで過程の一部だけれど
それに心地よさを求めるのはごくごく自然な発想かもしれない
2010年4月18日日曜日
何となく
お金があればなんでもできるのは間違い
関われないことは不幸だということも知った
自分の価値を知らなければ相手のこともわからないと思った
仮につらいことが目の前に積まれても
自分ならすぐに逃避してしまうのだが
人によれば喜んでそれに立ち向かう気概を持っている
なんにもないことよりなにかあった方がいい
その価値が自分の中では逆転していた
時に心が傷つきあったりぶつかり合う時もある
うずくまって痛さに悶える度に
こんなことが二度と起こらないようにと考えることで
如何に逃げ道を作ることだけを考えていた
そして無関心という防壁を作った
ありとあらゆる人間に目をむけるのではなく
自分の興味の湧くものだけを追いかければいい
しかしこれも一種の暴力だという
自分を守るため、他人を傷つけないため
その二重の概念が相反するベクトルを持っているとは
眠ってももういいアイデアは浮かんでこない
ただただ、経験があるのみ
そういう意味では
思う存分傷ついても
後でしっかり寝込んで治療すればすっきりするかもって思い始めた
2010年4月15日木曜日
Now loading
そう呼ばれると
いつもの通りバナナと1カートンの煙草があった
だいぶ順調のようね
うん
友達も少し出来たよ
看護婦さんとお医者さんの言う事をちゃんと聞くのよ
母の去った後はいつも爽やかだった
言い方は不器用だけど最後に何も残らない
俺は複雑骨折で入院している
今でも後遺症に苦しみ
リハビリ以前に回復を待っている
食堂で食べる食事はあまり美味しくなく
母親が持ってくるタバコを中庭で独り煙を静かに吐き出すのが楽しかった
ここには誰も入ってはこれない
夜はデイルームの喫煙場所で吸う
よく出会う人は二人
俺と2つ3つしか変わらない男
健司
名前は知らないけれど
神出鬼没で現れる中年の人
よく三人はたばこを吸う時間帯が合う
健司は
最初懐かしい感じがした
初対面の時もどこかで確かめたような顔だった
吸っている銘柄が年のわりにあまりに毒々しかったので
興味本位でもらってみると
とてもじゃないが同じタバコとは思えなかった
タバコは大人の火遊びだな
そうですか
僕はおしゃぶりだと思いますね
そういつも問答しあってる中年のおじさん
笑顔がまるで少年のようにあどけなく
落ち込んでタバコを吸っているときなんども慰められた
1mタバコなんてすって意味があるんですか?
突然聞きたくなった言葉
おじさんはそれ以上言い返さなかった
外のデイルームでタバコをいつものように吸っていると
少し若い美人な人がやってきた
なぜか笑顔が絶え間なかった
ここにいませんでしたっけ?
突然女性は自分に聞いてきた
え?
いや、いいんです
また来るんで
その女性はいつも何かを探してる様子だった
病院というものはとてもじゃないが精神が滅入るところだ
その時の笑顔というものは
何ものにも代え難い
健司はほろりと漏らしたことがあった
俺のお母さん?
あぁ若いよ
たしか18の時の子供だから
え?
まだ30代かそこら?
俺の母さんなんてもう60にも手が届きそうなのに
相変わらず俺の吸うタバコは9mのラーク
これ以上タールを上げることはしないし
また禁煙も考えたことがない
後で看護婦さんにきいたら健司は
母親と面会謝絶をしていた
それでも親はいつでも子供のことが心配なのだ
あんなにタールのきついタバコをすってる彼には何かしら理由がある
そう考えた
食堂できょうも美味しくないと感じながらも
食事をたらふくお腹に入れる
その後に吸う一服
何とも言えない
おじさんは
タバコなんてすっても何もいいことないよな?
素っ頓狂に聞いてくるものだから
思わず笑って
そうですね
僕もそう思います
日差しも少し当たたくなってきた
俺は母親にタバコの差し入れを断るように申し入れるよう考えた
2010年4月12日月曜日
黒い夢 The return of mother brain
写真が侵食されてく夢
俺の思い出はどんどん黒く塗りつぶされる
大切な思い出、思い出したくない思い出
暗い漆黒は自分を僅かに残し何もかもを飲み込もうとしている
為す術がないわけでない、自分に納得させるのだ
わずかでも良い自分が残りさえすれば
師走の朝
タイマーでセットしていたテレビが突然つく
CMの素っ頓狂な音
きょうもまだ意識ははっきりしている
シャツは寝汗でぐっとりと濡れていた
換えを探さなくては
3LDK
の自分の部屋に忘れてはならないものがあった
息子だった
朝ご飯の準備は勝手にしてくれて助かるのだが
お弁当の準備は自分がすると決めている
しまった寝坊した
息子はナニも言わず黙々と自分の作った卵焼きを口に含んでいた
ブラウン管の光が瞳に反射している様はまるで自分を受け付けてはくれない
終値を聞いてなかった
そう、思うと株価のニュース
TOPIX
-256ポイント
今更この景気を他人に任せるわけには行かない
しかし景気の動向は知っておく義務がある
この年になり全体の流れの大切さを学ぼうとしている
息子はミルクたっぷりの珈琲と、カリカリのトーストは欠かさず食べる
俺も同じメニューを消化しきょうに備える鋭気を養う
行ってくるよ
あっさり息子は食べ終わりカバンを背負って高校に向かった
あっ待ってくれ
今日の昼飯代だ
そういうといちまいのお札を渡す
息子は深くため息をついた
相変わらず悪いね
それがお互いの暗黙の口癖
妻のことを思い出す
結婚には慎重だった
実際生活してから気づくことが多いのは周りを見て腐るほど知った
美しい女性だった
当に非の打ち所がなかった女性
出会った時はそうだった
しかし愛されているのは自分ではなかった
子供ができて豹変した
ショックだった
飽和状態が限界に達したとき
離婚を考えた
子供は自分の意思を尊重させるということで
どちらかを選ばせた
そして俺を選んだ
妻は深く悲しんだ
妻が愛していたものは多分自分の届かない美しいもの
また、頭を下げ馬鹿げたことでも納得させなくてはならない自分がいる
ましてや生活のためだけでもなく子供のためだけでもない
自分自身の真理をぽっかり見つけること
そう思えば傷つくことすら怖くなかった
2010年4月10日土曜日
2010年3月30日火曜日
零式
何もかもを失った
心はすべて鬼となった
自業自得だと誰かは笑う
ばつの悪いときにまた現れると思う
壱号機
聞こえるか?
応答せよ
はい
ただいま敵の本拠地がうっすら見えてきたところです
黙視すると
レーダーで確認出来る範囲で今はいい
単独行動はなるべく控えるようにな
今、
ヒューマノイドに乗っている
祖国のため、なにより自分の大切な人のため
戦っているのはカルトな宗教団体が築いた暫定区
いつミサイルが飛んでくるのか分からない
俺たちはロボットで市街地を制圧しなくてはいけない
無線がはいる
おい、いまどこにいる
機体がレーダーに映らないステルスになってるぞ
俺は
いや機体の調子が悪いから敵に気付かれないようにしてるだけだ
直に直る
仮に俺ひとりの力で決着がつけれるのなら
願ってもないことだと思わないだろうか
秘策はあるんだ
エンジンの出力を最大に上げた
目的地まで3000
陽は落ちすでに真っ暗
しかし、暗闇の戦いは死ぬほど慣れている
何故か晴れ晴れしかった
死ぬことでもないましてや犠牲になることでもない
世界がひとつになれるのなら
ちょうど頃合いも良くなった
静かに敵陣に上陸する
案の定
敵のロボットが数体待ち構えていた
名前も顔も知らない
しかし、俺はヘドが出るくらい憎々しかった
正義の元に一体いくつもの国がなくなってしまったのか
独りで敵陣に潜り込むとは大した度胸だな
それとも、おまえらお得意の特攻ってやつか?
覚悟は一瞬で決まった
まず右の機体を羽交い絞めにした
すかさず応戦される
振り向きざまにけりを入れる
リーダーが誰かわかればあとは良い
統率を失った群れは
暴れまわるだけ
触覚を失った昆虫のように
突然なにか鋭い感覚が右半身を襲った
槍を刺された
それも真っ二つに
なぜこんな場所に
俺はお腹のあたりに生暖かいもの感じた
血だった
痛みも苦しみもなかった
しかし目にもこぼれ落ちるものがあった
まだ死にたくない
国で待っている母親、殉死した父親
結婚したばかりの妹
これで決着がつけれると思ったんだがな
甘美な時間は終わり
後は機体の中で悶える自分がいた
敵は自分以上に自分を知っていた
悔しかった
そして漆黒
あいつ、なんの音沙汰もないんですけど
敵陣に気になる反応があるんですよね
あぁ聖なる矛を使ったな
大きな人柱ができるところだった
そしてすべてが終わるはずだった
しかし、戦局は泥沼になってゆく
俺は宙に浮いているのか
気がつけば真っ暗な空間に佇んでいた
気がついたかね
誰かの声がする
俺は確か
君は死んだのさ
そうか、しかし晴れた気分だ
これから君に二つの選択肢を用意した
自由に選びたまえ
もう一度生きて全てに償いを与えるのか
ここに居るのか
まだ俺には分からない
だって最後につかもうとした花が
すでに枯れていたんだからな
俺は暫く考えることにした
つづく
2010年3月28日日曜日
セルフサービスのお店
ここ三日何も口にしていない
それもそのはず病気で寝込んで看病してくれる人がいなかったからだ
体力が底を尽きてきた
外に出て何かを摂らなくては
玄関を開けるともう3月なのに身に染みる風
飢えと寒さ
なんでこんな世の中で身に染みるほど味わなければならないのか
俺は財布を確認した
なんと十円玉が一枚だけ
銀行のATMへ向かうにも時間は過ぎている
友達に連絡しようか
そんな機転も利かないくらい飢えが脳神経中枢に浸透していた
腹に染みる美味しさというのがあるが
脳を突き刺すような飢餓はある種の快楽に近い
そんなことも行っていられないまま街に出た
ぷ~んとおいしい匂いが漂う
カレーや牛丼店
しかし文無しなので理由を言って後で支払うのか
しかし自分はなんといってもプライドが高い
そんなことで無銭飲食でもして
明日にでも笑われようなら
そうこうしてるうちに考える気力すらも失っていった
意識がだんだん途絶えていった
そして
起き上がった末に目の前に有った店
うどんのかつおだしといりこだしの匂いがふんだんに香る店
オールセルフサービス
¥0
なんだここは
しかし
ただより高いものはないよな
このさい贅沢はいってはいられない
なにより飢えははらわたと脳をずんずん突き刺すように感じるのだから
店は引き戸だった
カラカラ開けると
いかにも閉めなくてはいけない空気だった
俺は静かに閉めた
カチャリ
何かが鳴った音がした
なんと鍵が閉まった
此処から先はもう
俺は覚悟を決めた
まずテーブルが有ったが
お盆とお箸
それに丼が置いてある
なるほどセルフサービスでバイキングのようにとっていく方式か
そうたかを括った
しかし
その次には茹で上がってない麺が置いてある
その横には水道と釜揚げき
今の俺にはどこにそんな体力が有ったのか分からないが
夢中で水を注ぎにたったところで麺を入れた
大体こんなものかと言うところで麺を揚げ
丼に盛った
その次には
醤油ダレや調味料、小さな手鍋が置いてある
なるほどスープは勝手に作るんだな
俺はインスタントラーメンの要領で
手際よくて鍋に水を入れ醤油、希釈しているだしを入れ
スープを作った
ここまでくれば後は要領だった
具はエビフライがいいな
そう思い
厨房の奥にある
フライパンに油を貯めて
衣を振ってある惣菜を揚げた
後は適当な場所を見繕い食べるだけだった
しかし、自分で作ったものはひとしおに美味しい
美味しさで涙が出そうだった
湯気と涙で蜃気楼のようなものが見えた頃だった
静かにのろしのようなものが降りてきた
採用
何だ?
採用とは
その後俺は天国の食堂でコックをすることになった
何でもこんな時代に飢えて死んでしまったことは何かのきっかけだそうだ
俺は幸せの中でさらに幸せに満たされている
2010年3月27日土曜日
ジグソーパズル
夜、布団のなかだろうか
下半身のあたりが生暖かい
横を見ると大きないびきをかいて若い女性が寝ている
俺はその女性の半分の大きさにもみたないことがわかった
そうしている間に今度は別の感覚が襲う
あぁもうダメだ
泣きだそうにも微妙な感覚に素直に反応できなかった
そして
俺は広場で自転車に乗ってる夢をみている
若い青年が笑いながら俺の自転車を押している
あぁこんな日差しの中
ただこうしているあいだでも幸せだったな
懐かしさと新鮮さが入り乱れた瞬間だった
そして
学校で先生と内申のことで相談している
成績は中の下
それでも一生懸命勉強した時代があった
その時の必死さと仲間の結束感は忘れられない
短い文章を書いて提出したとき
ほろっと漏れた言葉
お前は良い文章を書くなぁ
何気ない言葉だったが俺のその後の進路を決めた
大学は中退したが
やりたい事は見つからなかった
自由奔放
それだっていい
ただ興味を追いかけるのもまんざらじゃない
ただ、そろそろ職を見つけなければならない
たまたま
見かけた雑誌のエディターの募集
文章で食べていけるのなら
願ってもない
門をたたくとただただ経験だった
そして
たまたま何か物語を書いてくれと依頼があった
エッセイなら何でもと
快諾をした
その後
物書きになるチャンスが訪れた
俺はその時過大な夢を見ていた
これで本当に好きなことが書けると
結果は逆だった
書くことが見つからなくなったのだ
なぜだろう
ひとつだけ分かったことがあった
その当時、俺は満たされすぎていた
家庭を持ちたいと思える人が現れ
真新しい車にローンだが自宅も有った
40代ですべてを手に入れたかのような全能感
仕事も惰性で食べていけるポストにいる
俺が手に入れたかったのはこれだったのか?
大きな無力感に襲われた一瞬でも有った
次に目が覚めると
俺は成人した子供に囲まれている
すでにいろいろな相談回る役目になっていて
精神的に言えば今が一番忙しい
なぜだろう、自分の原動力だったとんがってギラギラしていた好奇心は
かたちを丸め輝きを変え
ますますいろいろな人の役に立とうとしていた
そして目が覚めると俺はもう還暦を超えた
鏡を見ると真っ白だった白髪も黒い毛が混じるようになった
皺だらけだった目尻もピンとし
体はもとの若さに戻ろうとしている
そうだ時は逆行していく
まわりには相変わらず変わった老人にしか映らない
精神力の成長は止まらなかった
より複雑さを増した形は
押えきれないまわりへの衝動として威光を放っていた
次の人生はどうするか
そればかりを考え
俺は享年120歳を迎えるまでゆっくり進む。
2010年3月21日日曜日
2010年3月15日月曜日
ヒーロー
歩の突き捨てで相手の陣地にやっと潜り込めた
銀をぶつけ
角もぶつけ
最後に飛車を成らせる予定だった
相手は静かに自分の陣地に歩を垂らした
あまりに静かすぎて何を狙っているのかはわからなかった
たぶん、予想通り飛車を叩くつもりだ
飛車を大事にずらした
あまりいい手がないと俺はかってに桂馬を飛ばすクセがある
飛び道具のつもりなのだろうがこの戦法は根拠がない上に歩の餌食になる
一進一退で進んで行った
50手目ぐらいだろうか
いきなり相手は自分の空けてしまったスペースに角を打ち込んだ
しまったと心で叫んだところで不利な戦局にはかわりなかった
俺は自陣を捨てて
捨て身の攻撃に変換した
とった駒をじゃんじゃん活用して隙を与える暇を与えない
しかし、なんで俺はこうも角に弱いのだろうか
今までの積み重ねたものがあっという間に崩れ去る
とった駒もだんだん尽きてきた
後は防戦するのみ
しかし投了は絶対にしない
相手が詰ませるのをしっかり確認しなくては負けたことにはならないのだ
王が泣いてるな
裸同然になってしまった王を俺は呆然と見た
対局が終わって青年は
少し首を左右に振って
少しは期待していたんだがな
所詮自己満足の将棋だな
何が言いたいんだ
俺は唇を微かに震わせながら小声で反応した
相手の胸を借りたんだ
勝ち方にこだわるなよ
いつからだろう
綺麗な勝ち方、そして負け方にこだわるようになった
それはやはり自己満足なのだろうか
それよりも自分より実力のある駒
飛車や角をかわいがる姿勢
それは今までずっと変わらなかったこと
いわゆるそれではヘボ将棋なのだが
剥き出しになって守るものもない王がかわいそうだった
裸の王様はやめよう
そして時に相手を思い切り信用してコミュニケーションを取ることも大切なのかも知れない
なにより主人公はなんにもできない自分なのだから
サティスファクション
会話や、仕事、スポーツを通じて知り合う
自分もそういう例のひとり
いわばコミュニケーションにはいろんな種類があることをいいたい
俺の趣味は将棋
週末に碁会所で老人たちと打ち合う会話がたまらなかった
対局してくれる人は強すぎず弱すぎず
戦いはある程度実力が同じじゃないとつまらない
きょうは偶然にも若い人は中に混じっていた
防止を目深にかぶってはいたからどんな人かはよく分からない
さし筋を見ると
振り飛車で陣形はあまり整えないタイプだった
一度やってみたいな
対局が終わるまで静かに待っていた
すると
青年は自分にすっと近づいてきた
やぁ
こんなところで自分と同じくらいの年齢の人がいるとは思わなかったよ
良かったら軽くお願いできないかな
まさか向こうから来てくれるとは思いもよらなかった
もちろん快諾した
コマを並べてる途中
相手の動作で大体の性格がわかる
この人は多分丁寧な指し筋だろう
そう思えるくらいゆっくりと慎重に丁寧にコマを置いた
さぁ、そちらからどうぞ
青年は胸を貸すつもりで俺に言った
将棋は先手が有利なゲームだ
これはいわゆるハンディにもつながるとは思ったが
遠慮はいらないと思い切り指した
まず角筋を開ける
相手も慌てて開ける
俺はそれを防がなかった
まずは自分の陣形を整えることだs
銀と金をバランスよく配置した
そして
飛車の道筋を開ける
相手はその好きにすみの歩を進めたが冷静に自分も歩を進める
大体戦略は決まってきた
棒銀だな
歩を冷静に進めそれと同時に銀も上げる
相手は無傷では済まない
戦いは歩の突き捨てからだが
相手は角を自陣に打ち込んできた
もちろんこれは交換だ
今の時点で持ち駒は角一枚と歩一枚
相手は棒銀を尻目に三三歩を進めてくる
角を打ち込むスペースを開けたがっている
今まで何度も角を絶妙なまで打ち込まれて負けてきた
ここは冷静に自陣を構える
自分は振り飛車でも中飛車でもなく居飛車である
破壊力のあるコマは静かに鎮めなくてはいけない
そして隙があれば一気にぶつける
相手の歩と銀がじわりじわり上がってきた
自分はあまり使われない戦法
金も総動員してあげることを研究している
金はとられた時点でものすごいリスクを背負う駒だ
故に王は必ず居玉は避けなくてはいけない
序盤はわずかに自分の陣形の方がバランが良い
まずは右端を壊すことからだな
俺は静かにひとつのマスに駒を何個もぶつけること
いわゆるトラップを仕掛けると呼んでいるのだが
着々とそれらは整ってきた
神様から与えられたもの
大学付属の病院
いつも患者でごった返すこの界隈は街の一大拠点だった
数生はここの直属の医師を担当していた
カルテは全て電子化され
デスクトップにすべて記録してある
自分の文字だけだったカルテとは違い誰にでも目を通せる
昨日当直だった疲れがまだ体に残ったまま
自分の診察室へ向かう
数生は内科が専門だがまんべんなく勉強をしたつもりだった
特に代替医療はこれからの花形だと思っていた
その理由は沢山ある
きょうも一番の患者の顔を見るなり
数生は手に脂汗のようなものと軽い吐き気が催された
いつまで、同じような症状をもった患者と対峙しなくてはいけないのか
俺はスパイラルにいる
病気には原因が三つあると思う
そして治し方もそれ相応にある
ひとつは神の意志
これを聞くと伺わしいと感じるかも知れないが
病気は人間の人智を超えた部分で神が与えた何らかのきっかけかも知れないからだ
もうひとつは環境
家庭や会社などのストレス
そして
薬物に依る汚染
病気には因果がある
そう信じている
化学物質で体の生理作用を止めても根治には至らない
特に俺は神の意志
与えられた試練とでもいうべきだろうか
真剣に考えている
そのために東洋医学を調べている最中だ
ミクロの世界からマクロの世界
この宇宙全体を全てとみなして考えられれば
やはり病気は神から与えられたきっかけなのだ
人生や家族、社会に対して
自分の立場を確認する
そう思えば死もきっと今より概念が変わるはずだ
俺はどんな苦難があっても生きる意志がある限り生きろと患者に言う
安易に死を望むのも死を恐れることもやはり体には悪いと思う
原因不明、見たこともない病気がどんどん生まれてきている
常に諦めるか立ち止まるかの瀬戸際に立たされる
それでも、ひとつの大きな意志に向かう俺は生きているという大きなやりがいに変わる
2010年3月13日土曜日
優しさ
木造の趣きのあるラーメン屋が一軒有った
中には笑うと皺がゆっくりと現れる落ち着いた老人が独り
ここでは醤油ベースのつけ麺を出している
店長
ここのラーメンはどんなスタイルでも合いますね
フフ、もともと伸びないラーメンはないかと思ったときに出会ったのが今のつけ麺です
ここのラーメンはとても温かい味がしますよ
フフ、おいしさとは千差万別ですからね
私は心の部分で追求することにしました
その心は優しさですね
店長、面白い店ができたんですよ
どんな?
入ってすぐはなんだここはと思い
食べた後はもう二度どく来るものかと思う
しかし、後になってふとまた無性に食べたくなるという、、、
それは人間らしさですね
フフ
老人はゆっくり腰を上げた
もう、弟子はいないし自分の味を守ることだけ
ただなにかやりかけたことがあるのではないかと思ってはいた
一ヶ月もたたないうちに俺たちはここの界隈では知らない人はいないラーメン屋になっていた
営業日も不定期
営業時間もスープが切れたら閉店
たしかに理想的な経営状態だ
しかし、
ある日
よし
と哲夫は頷いた
俺はもうすぐ屋台へ戻るよ
なんだか自分のラーメンが心配になってきた
お前には技術も経営手腕も大体わかってきたはずだ
うん
すまなかったな
最初は言いたい放題で
でもここで得た信頼関係はどこへ行っても消えないぞ
自信を持て
そういうと哲夫は店からいなくなった
俺は暫く店を閉めることにした
たしかに哲夫のスープを提供すれば今まで通り自由な経営でいい
しかし、今まで培ってきた自分のスープとはなんだろう
そして
俺は一種の迷いも感じていた
強烈なスープを堪能して求めるように去っていく人たち
たしかにそういうものを求められる時代ではある
ただ
誰にでも安心して食べさせられるスープはないだろうか
老人や子供
果てや病人まで
俺は試行錯誤した
野菜をふんだんに使ったり
いっその事豚骨をやめようともした
そして出来上がったのが
醤油ベースの野菜スープ
目標はうどんも凌駕するほど胃袋に優しいもの
物足りなくても良い
自分の優しさがしみてくれれば
あら
早速、街中にはいつもと違う匂いが漂う
哲夫との関係で全く真逆にまでいってしまったラーメンへのスタンス
試される時が来た
2010年3月12日金曜日
お互い
ひっそりと小さな灯りが灯っている
木で本格的に組まれた屋台
哲夫はここのオーナーだった
ここのラーメン美味しいって思ったことは一度もないよ
でも時に無性に食べたくなって探しにくるんだ
お客は哲夫のことを知ってるようで知らない
無理もない哲夫の店はいつどこで開店するかわからないからだ
血抜きもしないし、余計な添加物は一切使用しない
不器用な自分にしか出せない味だと思ってます
貪るように店内のお客はラーメンを啜る
鉄ちゃん次は明日はどこかで営業するのかな
エェ、多分
すると電話が鳴った
受話器をとると哲夫は
あぁ、お久しぶりです
良いですよ今度行きます
あっさりと電話を切った
屋台はひっそりと営業しているのに行列が出来始めていた
そろそろ切り上げ時だな
哲夫は屋台をたたむ準備をした
次の日
カウンターが50席近くある
都心のラーメン店に哲夫は足を運んだ
こんにちは
すると席にはひとりの若者が一緒に座っていた
やぁ元気にしてたか
体を壊してないか心配していたよ
僕は自己管理のできる男ですから。。
実はね都心の一等地にラーメン店をオープンさせた男がいてきょう一緒に話してたところなんだよ
それで?
暫く修行させて欲しいんだ
頼む
哲夫は頭をさすりながら
お世話になった店長の頼みですから
断るわけには行きませんよ
早速、一緒に見に行ってくれ
お前も頭を下げろ
俺は無理やり頼むことになってしまった
店につくと
へぇ、いい物件じゃないか
駅前でしかも角部屋
いろいろ話しあった結果スープや麺でもめることになった
結果俺は折れた
次の日から早速営業が始まる
そして
鼻をつくような強烈な匂いが街を襲った
なんだろう、無性に食べたい
そういう衝動に狩られたお客がゾクゾクと入ってくる
無理もない、血抜きも下処理も全くされていない独特のスープ
麺も一切添加物は使わない縮れた太い麺
個性は満点だった
誰も美味しいとは一言も言わない
しかし
お客の流れは止まらない
店内は戦場だった
一見シンプルに見えるが彼のスープに対する管理の鋭さは半端じゃなかった
一度でも温度が下がるものなら怒号が飛んだ
麺も秒単位でゆがく時間を管理している
複雑にしてゆけば良いという自分のスタンスと真逆だった
店長はタバコを吸いながら心配していた
どうでしょうねぇ
まだひよっこの美味しいものを作りたい野心家と
社会に必要とされているのに頑なに拒んでいる男
彼らには共通する何かがあるはずなんだ
それを照らし合わせながらお互いに補完しあう
美しいものが出来上がる予感がするよ
それだといいんですがねぇ
だから、お前はテーブルをしっかり管理しとけ
日に日に両者の力関係が明確になってきた
すでにこの店は俺のものではない
しかし、おいしいものを世間に提供する夢はなんとか果たせそうだった
トライアングル
何気ない一言だった
友達といつも会話に上がっているビデオゲーム
生活に彩りを与えてくれる
故に必需品ではない
俺たちは一応パソコン同好会という名目で活動していた
部室には古ぼけたDOSマシンが一台
ふと、部室に放り投げて有った雑誌に目が行った
猿でもわかるプログラミング講座
ゲームはご存知の通り重厚長大な方向へと向いていった
映画業界もしたを巻くようなスケールと音楽とグラフィック
その内にね、疲れ果ててしまった自分に気づいたんだ
やらされてる感じがしないでもないよなぁ
かと言って能動的すぎるのも何か違う
部員は三人
感覚を重視する俺
何を考えてるのかわからない不思議系の透
よく物語を読んでばかりの良美
プログラムの勉強を始めたばかりの俺たちは
ある考えが浮かんだ文化祭をめどに自分たちのオリジナルゲームを出品しよう
もちろん自分を除いて二人はある程度プログラミングができた
なんにもないけれど
俺はスポーツゲームが大好きだった
単純にボールを跳ね返して相手のゴールに入れるだけでも相当な複雑さを要求されるからだ
プログラムの本を片手に読みながら
昔をほんの少し思い返した
エミュレーターで動くロムをしこたまディスクに入れて自慢してた頃
ゲームは基板でやらないから面白くないんだよと
マニアの友人から諭されたことがあった
ゲームセンターも徐々に消えて行った
もちろん筐体には基板が稼働してある
仮にPCでエミュレーションしたゲームをゲーセンでやったら
どんな感覚なのだろう?
なんとなくその差を感じ始めた
一通り、本に目を通したけれど
実際にプログラムを打ち込んでみなければ話にならない
とりあえず感覚を重視したピンボールゲームを作ろうと目標を決めた
2010年3月11日木曜日
Window
俺は当てもなくさまよっていた
安定した職にもつけず、学校も満足に行けず
誇れるものが何一つない状態だった
日雇いのバイトの帰り道
電気店のショーウィンドウ
立体テレビが鎮座して有った
もちろん自分の給料では買えないから
高嶺の花のような存在だった
舞台、スポーツ、音楽
娯楽こそ自分の人生において救いだった
電気店が閉まる時間まで食い入るように眺めた
そのうち奥から視線を感じるようになった
たぶん店員さんだろう
多少の迷惑と感じつつ俺は毎晩通った
そのうちにテレビは画面のサイズがアップし臨場感が増した
まるでその場所にいるかのようにテレビは燦然とした
そして並ぶ台数も増えた
二台、三台
マルチモニターを眺める感覚はとても贅沢だった
番組の内容もよく自分の見るチャンネルになってきた
嗜好が合ったといえば良いのかも知れない
まさか、店員さんのはからいかな
そう感じつつも俺は崖っぷちな人生を堪能していた
転機が現れたのはその後だった
音楽のテレビ番組を見ていて
ハーモニカを弾けるのではないかと予感した
案の定楽譜を見ずともスラスラ演奏できた
公園でいつものように奏でていたら
後ろから声をかけられた
音楽を一緒にやらないかと
その後はトントン拍子だった
バックバンドの演奏から
ワンマンショーまで上り詰め
ある程度の富を得た
もうお金に苦しむことはあまりなくなり
買えないものはなくなったはずだった
偶然夜に久しぶりに電気店の前をすれ違った
テレビは相変わらず燦然と輝いていた
俺は踵を返そうとした
すると中から人が出てきた
こんばんは
最近見ないから少し心配したよ
どうだい、よかったらこのテレビもらってくれないか?
決してお金では買えないものをこの店から貰っていた。
俺はその時ショーウィンドウにうっすら映った悲しげな自分の顔を見た
そうか、俺は無意識にこの顔に自分に虜だったんだな
深々とお辞儀をして俺はその場を立ち去った
2010年3月4日木曜日
植物のような心で~リフレイン
まわりの自分に対するサポートは磐石
リハビリも順調
ただ昔をよく思い出す
二本足で駆けてた俺は幸せに溢れていた
病室でいつも変わらない風景を見ていた
中庭でどっしり構えているあの大木
植物も自分の力では動けないけれど
俺は何かを思いついた
かぁさん中庭につれてってくれよ
車椅子を押されながら
大木に近づくにつれ
何かを感じた
もう体は自由には動けない
でも違う何かを感じ取ることができるはずだ
緑は自分に何かを伝えたがっていた
ざわめく息吹
みんな繋がっている命
精気はふわりふわりと自分のまわりを包む
彰、何かおかぁさんにできることがある?
もうよしてよ
それよりスケッチブックが欲しいな
体全身で感得した何かをみんなに伝えたい
俺の新しい人生は静かに始まった
2010年3月1日月曜日
バレンタイン
逆境が好きだった
一歩一歩踏みしめるようにそれに立ち向かう
時に諦めかけ時に絶望し
登り終わった後生きててよかった
それを思うことが唯一の生きがいだった
カーテンを開けると眩い光と共に絶景が待ち構えていた
フカフカのダブルベッド
隣には名前が思い出せない女
タバコの火を入れると
次の目標が目に浮かぶ
次はどこを征服しようか?
どこが見せ場になるだろうか
女が軽いあくびをしながら目を覚ます
隣には値段相応の添い寝があれば良い
あら、起きるのだけは相変わらず早いわね
なんなら、もう一晩俺のそばで寝るか?
冗談、あんたみたいなマスターベーション野郎はゴメンなの
女は颯爽と部屋から出て行った
街へでよう
雑踏の賑わう広場へポケットに手を入れながら漠然と進む
きょうはイースター祭か
フードを被った女の子が
何かを探すように歩いている
御嬢ちゃん、何かをお探しで?
思わず声をかけてしまった
おじちゃん、大切なものを拾ったんだけどどこに届ければ良いかな?
家の人
家族に見せなさい
少女は突然自分の胸ぐらに飛び込んできた
ハグをして欲しかったのか。。
優しく思わず彼女を受け入れた
次の日
雑誌の取材の打ち合わせで次に登る山の打ち合わせをしていた
これは良い絵が撮れそうだ
ゾクゾクしそうな絶景を舐めるように眺めた
すいません、今カメラマンの連中が途中まで登ってしまって今打ち合わせができません
暫く時間をおいてもらえませんか
俺は
いくら絵になるものでもカメラがこんな風じゃ使えないだろう
場所を教えろ
直接で向く
俺は普段着のまま3合目まで登ろうとした
雲行きが急に変化しだしたのはそれからだった
一気にまわりは薄暗くなり、突然吹雪いてきた
引き返すなら今だぞ
内なる声と
自然に進んでしまう足との葛藤が始まった
10分ぐらいたっただろうか
限界だった
簡易式のテントを張りそこで寒さをしのごうとした
逆境はいつか必ず乗り越えられる
そう信じてここまで来た
しかし、意識が遠のいていくのを感じた
幸せな自分はいない
どこに行ってもいない
乗り越えた後の快楽だけに飢えていた
ふと、胸ポケットに固いものを感じた
まさぐって取り出すと
包にくるまれたチョコレートだった
思わず口にすると
胸が焼けるような甘さと
ほんの少しの優しさに包まれた幸せが襲ってきた
そうか、俺が求めていたもの
これだった
涙が瞳からはちきれんばかりに出た
俺ははじめて恋の味を知った。
素直
後は開店準備をするだけだった
シャッターをゆっくり開けると摩天楼のようなビルが聳えてる
見上げながら光を吸い込み
新しい人生の幕開けだった
ちょうど昼休み中の中年風のサラリーマンが通りかかった
へぇこんなところにラーメン屋さんができたんだ
入ってみるかな
すいません、今開いてます?
男は興味津々な顔で店に足を入れた
麺の茹で上げきの沸騰時間の分待たせたけれど
紛れもなく最初のお客さんだ
最初は手が震えた
最初から最後まで自分の責任はなかったから
スープの限界まで試した濃度
麺も具も厳選されたものを選んだ
おまち
丼をゆっくりお客に差し出した
最初のスープを啜って
男は
ふむ
と小さなため息を漏らした
率直な感想だ
暫くすると新聞を広げラーメンを食べることは二の次になった
会計の最中
いやぁ最近刺激的なことがなくてね
こんな場所でまさかラーメンが食べられるとは思わなかったよ
又来る
何気のない一言でも励まされた
あっこんなところにラーメン屋があるよ
誰かの声
やめなよ今月
お金使いすぎたんだし
値段を見ると少し引いてしまう人がいる
多少の値段は張ってもおいしいものを出そうと決めたことだ
すいません、ラーメン一杯
カップルで入ってきたのだが一人前の注文だった
二人は仲良く分け合っている
ラーメン屋は夜がドル箱だった
正直
仕込み、調理、接客
独りでこなすのは大変だ
一日が終わり売上を計算すると
よくもまぁ独りで稼いだなという金額が残った
俺は紙幣を握りしめて
もっとおいしいものが出したいという欲求に駆られた
次の日
流石に二日目で体に疲労が残ってきた
目の前のお客の相手をするだけで精一杯
過労がたたり
三日目に店を休んだ
横になっていると店長から電話が有った
やぁ、店を開いたんだって
人では足りてるかな
最初は自分のペースを掴むのが先決だから困った事が有ったら何でも言いなさい
こういうときに人の温かさが身に染みる
もう一度仕切りなおしだ
そう自分に言い聞かせ
今度は人の輪を考えるようになった
2010年2月27日土曜日
運命
それは突然の出来事だった
神様は信じてなかった
映画みたいな恋もありえないと思ってた
でも
自分の中で何かが迸ったよ
いつもの道、いつものコンビニ、いつもの喫茶店
人の顔はあまり見ない方だったけれど
運命の出会いってこんなものなんだろうな
でもきっと叶わない
今の自分じゃ愛されそうにもない
等身大の自分が嫌だもの
私の心を鷲掴みにした彼は
いつも自分の風を感じている
なにか共通の話題があれば良いな
同じ時間、同じ場所、同じ人
彼がいるのなら私はどんな時でも救われる
待ち伏せなんてしないよ
いつか目があって挨拶するまで
自分の人生を送るんだ。
救われている自分は今日も自然に笑顔がこぼれる
2010年2月23日火曜日
2010年2月20日土曜日
渇いた生活
私はOL
どこにでもいる普通の会社員
だから特別なエピソードもないし
人よりここが優れていると思ったこともないよ
いつもの帰り道
スーパーで買った食材のビニール袋が手にいつも以上にきしむ
終電ぎりぎりで帰っても
一人暮らしだから誰にも迷惑はかけない
実家は5人兄弟
でも、本質はバラバラ
留守電には週に二、三回親からメッセージが入ってる。
体には気を付けるのよ、後いつになるのかな。。。
親には恋人を紹介したけれど
関係が終わったことはまだ伝えてない
なんでかな、人の心が移り変わるのは
玄関に入って手狭な2kの部屋で思い切りくつろぐ
なんか胸にネクタイをしてるようでものすごくきつかったんだ。
実家から送ってきた梅酒を飲みながら今日のニュースを見る
暫く横になっていると胸のあたりが苦しくなった
少し横になれば良いかな
でも、喉に来てそのうち頭痛になり
熱があるようだった
体温計で計ると38°ある
頭が痛い
私は眠気もしないまま、病魔の床に付いた
こんな時誰かそばにいてくれたら
お母さん、
コンビニは自分たちのライフスタイルを変えた
24時間快適な生活
そしてインターネット
誰かと直接ではないけれど
常に双方向でつながる
でも、足元がだんだんすくわれてくのを感じる
外に出ても隣の人の顔をみもせずに黙々と端末でインターネットを始める
買い物も自分の好きな食材を好きな味に添加物で仕上げたものを好んで買う
そのうちどうにかなるんじゃないかって思ってたよ
私は自分の生活を振り返りながら
汗をかきながら苦しい病気と対峙した
朝になって少し様態が、良くなった
どうなるかなって思える生活もギリギリのところでバランスを保ってた
結局
便利ってことはいつかそのつけを払わされること
エゴにそれらが向かうのならとんでもない事
使い方が間違っているのなら
またやり直せば良い
カーテンを開けるとまばゆい光と雀のさえずりが聞こえてきた。
2010年2月17日水曜日
正直
俺は過渡期だなと感じる時が多々ある
今日もそんな時だ
自分がバイトをしているラーメン店
この不景気の中、客足は徐々に途絶え始めていた
味には特にこだわりはないがお客さんに安くて美味しいものを提供したいなぁ
いつも店長が言ってる口癖
だが隣三軒にどこのチェーン店でもないけれど安すぎる値段でラーメンを提供する店ができた
早速入っては見たけれどこれがと思うような味でこれでというような値段
感動もスッきょうもない
しかし財布には優しい
良いものを出せばついてくる時代は終わったんだ
だが、安かろう悪かろうでもない
ニーズはどこに隠されているのだろう
俺は自宅の1kの手狭な台所で寸胴を毎晩のように炊いた
いろんな店を食べ歩くべきなのだろうけれど
自分が良いと思ったものなら何でも試してみる
それは別に和風だしに拘る必要もない
バイトは徐々に時間が減らされ
自分の暇な時間は増えていった
そしてある日
一念発起
俺は自分の店を持つことを決めた
最初は小さな雑居ビルを借りる予定だったが
どこにもいい物件がない
挙句の果て
不景気の折超一等地と言える駅前のテナントを見てしまった」
いやいや、お客さん
今はここが旬ですよ
大手は駐車場が広く確保出来る店舗を選ぶきらいがあって
ここなら今なら破格の値段で貸すことができます
しかし、原価を計算しないと分からないがどう考えても
自分の理想とするラーメン店舗の値段で提供出来るのか
ここはね高いか安いしか知らないお客しかいないんだよ
ふと店長が誰かと会話をしている言葉を聞いた
そりゃそうさ
上もない下もない世の中に俺たちはいるんだ
自分の口にするものくらい選ぶ権利はある
俺は決めた
とことん自分の納得するものを提供すると
それには価格など関係はない
材料は直接見本市や専門の食材屋に行って直接確かめるようにした
納得の行くものを何度も何度も目利きし
試作したスープは上々
しかし、自分のおいしいものというものは作るのが簡単だ
それを受け入れてくれる舌がどれだけいるのだろうか
テナントもすでに手付け金を支払って
借りてしまった
ガスや水道を敷けばどれだけ経費がかかるかも未だに分からない
人権費も最初は自分だけしか入れないことにした
不安と恐怖に押しつぶれそうなオープン前だった。
2010年2月9日火曜日
Image
もし自分がスポーツ選手、バスケットボールをしていたら
もちろんチームのスタメンでもありたい
そしてやるなら活躍もしたい
誰にもない武器
そんなものを探す
まず自分に高さはない(165cm)
スピードも並
パワーはからきし
シュートの精度も誰より特別に練習をしていないからあまりない
外からも内からも近づけない、無い無い尽くし。
PGという試合を組み立てる役を与えられるが
いかんせん情報量の多さに圧倒される
ひとりひとりつぶさに把握しなくても良いさ
360度のバスケをするんだ
その時ぼそっと心が呟いた
状況判断
試合はコートの外からパスを受け取った時点から始まっている
流れを引き寄せるには
はじめから頭に理想の流れを何度も何度も叩き込むこと
自分のドリブル一回一回も無駄にしてはいけない
仲間にボールを渡した瞬間
次の状況判断が委ねられる
仲間の動き、それ以上に複雑な相手のディフェンス
カオスを自分なりにイメージする
全体をぼんやりと
なるべく広く
次第に自分の頭に何かが焼き付けられる
誰よりも資質に恵まれなかったのだから
誰よりも他人を把握する必要がある
目で選んだ確かなもの
盗めるものは何でも盗む
後で試合が終わった後じっくり頭でリプレイするのも良い
また新たな発見が五萬とあるのだから
これは別にバスケットボールに限ったことではなく
自分にとってどんな分野にでも応用できるような気がする
なにより自分の世界を見失い負けることは悔しい
答えはそのうち見つかるでいい
今日も気が遠くなるような塔の下で目を背けないようにしている。
2010年2月8日月曜日
2010年2月6日土曜日
俯瞰
月並みながら思うことは楽しさとは心が通じ合えたこと
受け手と提供者の思惑が合致したとき
それはそれは美しいオーラに包まれる
以前テレビゲームをしていても無条件に自分は貪り続けた
幸せな時代だったといえばそうなのかも知れないが
作り手の思惑に見事自分ははまっていたのだなと今でもにやりとさせられる
学生の頃は答案用紙を見ただけで嫌気がしたものだ
今思えば問題を書く人間のお気に入りの回答を出さなければいけないのだから
あまりに一方的だったのかも知れない
問題はここから
勉強は石灰を飲むかのように苦しいものだと誤解してしまった
その頃から
次第にやりたい事がわからなくなった
暫くたって
本屋でふと手にとった科学雑誌
専門用語だらけで分からない事だらけだったが
ビジュアルを駆使してあり自分の興味が沸き起こった
そうだ小学生の頃理科の点数だけは良かったんだよな
昆虫や自然、実験など
知的好奇心こそが自分の原動力なのだ
蘇った童心はやがて哲学へ向いてゆく
何だ険しい山も自分で登れば非常に楽しい
それは自分の肌にあったやり方なのだから
自分で評価してもいい
相手の目を気にするばかりが人生ではない
自分の目に映ったものを率直に表せれば良い
当たり前だけれど
大人になった今ようやく言いたいことが言えるようになってきた
自分の目が確かなものへと変わってきた。
2010年2月3日水曜日
ループ
また私をいじめるんでしょ
彼女のいつもの顔
過去を精算したってまた次がくる
新しい顔、新しい顔、新しい顔。。。
変わらない自分の顔
俺の青春はいつまたっても未熟だ
爽やかな晴れ模様
今日が卒業式だったら最高だな
独り空を感じながら呟いた
ふと
誰かが近くにいる気配がした
おい
おまえだ
俺もお前の時間に戻る
誰かの近くにいろ
決して独りになるんじゃないぞ
何だろう
どこかで聞いたような声
自転車置き場について
ふと誰かを思い出した気がする
昨日の物理の点数が異様なほど悪かったなんてことじゃなくて
嫌な予感がする
購買所で買ったアンパンが無性に食べたくなった
甘いものを食べればとりあえずしのげる
それは食欲ではなく頭の感覚なのだ
それ故食べることは栄養ではなくほとんど味覚の問題
ふと上履きに眼をやると
名前が風子と書かれている
俺は気づいた
あっ俺あいつに借りてたんだ
教室になら今いるだろう
俺はあまり戻りたくない校舎へ踵を返した。
2010年2月2日火曜日
リバース
明夫は俺の目の前で四つの装置を立体的に配置した。
人為的にブラックホールを作ると言っているが
そんなことが今の科学で可能なのか
問題は重力に耐えきれなくなる空間に危惧した
バレたら俺は勘当されて少年院行きだ
もちろんそんなことより大きな好奇心が、俺を駆り立てる。
明夫はブラックホールには特異点がある
物体も光もそこを通過するとどこへ行ってしまうか分からない
ホワイトホールというものが立証されれば話はシンプルかも知れない
しかし、そんなものは見たことがないという
わかるのは極微小に発生する空間の歪み
ワームホールと呼ばれている
この穴を拡大して時空を行き来するという算段なのだが
あまりに無謀すぎやしないか
何が?
もし、最悪の場合俺たちだけの問題では済まされないような
なぁお前は人生において戻れるとしたらいつの時代に帰りたい?
俺は一生懸命考えたけれど
科学も文明も殆ど無い様な世界に戻りたい
だってワクワクしないか
心だって意識だってその頃は剥き出しだったに決まっている
俺は原始に帰りたいんだ
そのための科学なわけか
ところで俺は初恋の頃に戻りたい
ちょうど小学生の高学年だったかな
そんな時代に戻ってどうするんだ?
自分に言い聞かせる
気持ちをはっきりさせるべきだったんだって
風子のことか・・・
俺は今でも後悔している
未熟だったあの頃
少しでも相手に笑顔をみせていれば
気持ちの本の一部でも伝えられたら
風子を傷つけることはなかった
彼女に言わせれば本来愛すべき人以外から骨抜きにされ
素直に感情を示さなくなった
意外とペシミストなんだな
なんだか分からないようでもないけれど
俺の辛気臭い過去より
お前の目的を果たすために俺は尽力するよ
遠くで何かが鳴ったような気がした
四つの装置から生まれた黒い空間は大きな風とともにあらゆる物体を飲み込もうとした
あら今日は風が強いわ
公園で犬の散歩をしている主婦
数子はただならぬ予感を感じながらも平静と過ごしていた
Account
親から突然電話があった
お前もそろそろいい年なんだから将来のことを真剣に考えて欲しい
縁談が揃った
目を通すだけでもして欲しいと
出会いが欲しいものですな
はっと我にかえった
気がつけば喫茶店で居眠りをしていた
フフ、今日はぐっすりと夢の世界に浸かっていたようですね
気がつけばマスターが後片付けをしていた
パソコンの小脇にはプロフィールの書かれたお見合いの資料
この年になっても結婚は絵空事のようだった
親を安心させるためとはいえ自分の人生までは曲げたくない
映画やドラマのようにそのうちにね
誰か自然に舞い降りてくるものだと
そのうちに気付けば良い
妥協も人生には必要だということを
いや夢を少し現実へ向けることを
相変わらずマスターとこじんまりした雰囲気でやっている今のスタイルが至福に近い
誰がなんと言おうと
今が幸せなのかも知れない
これどうぞ
気がつくと小皿に盛られたガーリックチップ
少しつまんでみてください
香ばしさとその後に来る独特の苦さ
思わず癖になった
数日後
窓をぼんやり眺めるといつもの黒猫がいなかった
かわりに可愛い白と灰色の混じりけの子猫が窓をひっかいてる
あっ
自分は思わず声を上げた膝の上に珈琲をこぼしていたのだ
そして、ばつの悪い時間が始まった
お客は相変わらず自分だけ
店内をゆったり見回した時点で自分の空間だ
すると
ドアの音がガチャリとなった
気がつけば前進をコートで覆った女性だった
たぶん30代半ばだろう
いらっしゃい
女が目配せをすると
あぁいつものやつですね
少々お待ちくださいと
マスターは颯爽と消えて行った
女は上着を脱ぐとかしこまった姿勢で何かを待っていた
お待たせしましたと出されたのは見たこともない焼き飯のような料理
サブドリンクも抹茶のようなものが出てきた
思わず近づいてきたマスターに
なんですあれ?
あぁ特別にお出ししています。
いつも常連さんなんで
細かい注文を聞いているうちにオリジナルメニューができちゃって
でも、手間がかかるのであの方だけにしています
まさか自分よりも通っている常連がいたなんて
軽いショックと共に嫉妬の感情が生まれた
女はお茶を軽く口に当てた
微かにため息が漏れたようだった
いかん、自分の仕事にはいらなきゃ
あの大きな窓
あの窓を眺めるポイントに席をとれば筆は進むのだ
ジンクスは少しでも大仰が良いかつわかりやすく
女の焼き飯を頬張る音が聞こえた
はふはふ、熱いのを我慢して必死に口に入れている
あのお茶を口に含むのとは対照的に
出会いがあると良いですね
マスターはニコニコしながらカウンターからこちらへ語りかけたようだった。