2011年5月17日火曜日

Post2

いいかこれからマス形式のゲームを始める
ポジションは所定のとおり
チームはスタメンとサブに別れろ

俺は自分の地位を噛み締めていた
決してここまで平坦な道のりではなかった
補欠でもサブでも全力を尽くせば機会は訪れると信じていた
ここまで何度ともなく監督の目に漏れていったが

今回は違う
前田
肩をポンと叩かれる

これが今シーズンの出納めだ
ここで結果を出さなきゃ試合にも出してもらえない

俺はいつの間にかやり場のない感情を加藤にぶつけていた
涼子の言葉を思い出さないのか?

涼子
このハンドボール部のマネージャーをしている
この部活の中で一番情報に鋭いのは彼女だろう
デンマーク、北欧のプロリーグにいたるまで全てのプレーを逐一網羅している
新しい戦術、トレーニング方法、技にいたるまで監督と密接なつながりを持っている
普段は話しかけない監督でも涼子ならいつでも親身に相談に乗ってくれる

スタメンとサブの差?
そうねぇ身体能力はそこまで無いよ
体力も技術も
一番大きなものはそこに立っているという意識
一流の場所で一流の仲間と一流のプレーをしているイメージを持つの
あなたが知らないだけでこれはスタメンの常識だから


俺は何となく小さな頃からハンドボールと打ち解けてきた
だから何となく誰よりもうまい
だからハンドボールの部活を始めた
しかし、世界は
世界は広い
自分と同じくらいのレベルなんてそこらに沢山いた
だが俺は誰よりも知っていることがあった
このスポーツは何よりも美しい
価値観の差はあれ俺はハードに鍛える連中とは袂を分かった
合同練習ではよく注意されたしサボることもあったが
個人トレーニングや新しいトレーニングに余念はなかった

結果、二年が経とうとしている
パワー型のオフェンスラインを駆使するのがいまの監督の好みで
いまの俺は構想には入っていない
しかしポストならではのトリッキーさや引き出しの多さなら誰よりも努力したはずだ


よしはじめるぞ

キーパーのラインが静かに見える
早くボールに触ってリズムを掴みたい
俺はがむしゃらに自分の持っているものをぶつけようとした

2011年5月12日木曜日