2008年7月27日日曜日

狂おしいほど愛しい痣

自分には描きたいものがある
決して自分の世界ではないのだけれど

模倣でも何でもいいから自分の達成感をはだで感じたかった

ここにきて一つの問題がおこってきた
絵の具
画材の費用が馬鹿にならなくなったのだ
絵の面積が広いと言う訳ではなく

自分のだきょうなく他人のいろをだすには
実験が不可欠なのだ

ただここまできて
経済的なもんだいで中途半端な結果になることは
余りにも無念だった

少年はおもいこしをあげるかのように決心をした
邪念を取り払う意味も込めて
まずは自分の身の回りにある絵を全部売り払う事を決心した
もちろん思い入れのある絵は多々あるが
今これから手に入れるものに比べればあとさきの事なんてどうでもいい

念には念を入れ
親が振り込んでくれた美術学校の授業料までも口座から引き落とした
あとでつかいこんだのがばれてもゆっくりかえせばいいんだ

むしろいまの目標にはどんな事でも犠牲にできる
うしなった事を後悔するのではという事が完全に欠落していた

なんか
頭のなかが妙にすっきりしたな
まるで空気をすうように絵を描く事が自然になってきた

どす黒い感情があざの様に客観的に見れる
そう感じるようになった

よし
駆けだしのパトロンの画廊へと足を運ぶ

そうですか
売ってくれるのですね
初期の丁寧でしかもあどけなさがこの絵には残ってていい
全部責任を持って買い取らせてもらいますよ

ただ一つお願いがあるんですが


言い値ではなく
本当にほしい人達に値段を決めて欲しいんです

それは・・・

オークションと言う事ですか?

いえ
そこまで

暫くここでかざってもらって
本当にほしい人が掲げる値段をこの目でみてみたいんです

こんな事をいっては気を落とされるかもしれませんが
あなたの画家と言う価値は全くの無名だから
投機の対象には全くならんと思うんですよ

だから
この絵が似合う部屋を

頭に少し血がのぼった自分にきづき
我に返り

いえ・・・このままでけっこうです
いますぐ現金に換えられますか?

もちろん
満面の笑みを浮かべパトロンは奥へ消えた

少し自分の欲をだし過ぎた
そう少し後悔し

おもったより少しいろをつけられたなというくらいの紙幣の束を
握り
画材屋へとひた走る

いつもとかわらない店内のドアを少しひらいただけで
強烈ないろが自分の目に飛び込んでくる
絵の具の種類がこんなにいろいろあるのかとその時初めてしったような気がした

自分には全く縁のないだろうと思われたライムグリーン?
いままでつかいどころが全く無かった


なんか
物凄くラグのような違和感を感じる
指で描いたらどうなるだろ?

どんなタッチにも変化する
指だと十人十色の技法

いえにもどり、とかくその日はいろんな手法にチャレンジした
またどれくらい時間が過ぎたのだろう


色を一生懸命ににじませている姿
少年は
確かめるように軌跡をなぞる

もう少しなのか?
自分でもどれくらいで完成なのかわからない

もうここしばらくは家を出たくない
完成してから外のすがすがしい空気を吸いたい

自分にとって絵を描く事は必要なんだ
それは将来の為でもいまの生活をまかなう訳でもない
この瞬間をいきるためにも

鋭い動機と共に指を繊細に動かし迷いを断ち切るかのようにラインを描いた

決まらない日でも明日になれば

もうすぐ美術学校を卒業する
なれしたしんだこの部屋ともお別れの時期が近付いてきた

もちろんルームメイトとも別れなくてはいけない
課題

あの窓辺に立ち遠くをぼんやり見つめている構図
下書きはようやく
決まり
あとはペイント
ここさいきんおかしな事が起きる
色盲ではないのだがこの絵を見るといろがイメージできなくなる


完成したんだね
後ろからポツリと呟かれる

ルームメイト・・・

いまじゃ
色彩すら漠然とし
随分と当たりさわりのないものを描くようになったもんだ

でも素敵よ
さいごまでちゃんと描き終えてね
中途半端は嫌いなの



ねぇ



これ描き終えたらその時は・・・


さて
色がイメージできないとなると
勝手にいろんな絵から当てはめるしかない
この色に近い色から創ろうか

いままで人の模倣にここまでエネルギーを費やした事は
いがいにも彼にとっては初めてだった

自分の満足の為にはどんな手法でも取り入れる
今はとりあえず完成させたくてしかたがないといった
迫真のようなものが宿っていた

課題
寝るのも食べることもおしいくらい没頭する
やっぱり俺は絵を描くのが好きだったんだ


どんなに気に入らない自分の癖のあるタッチも
この時は愛おしくてしょうが無かった

気が付けば
あっとういうまに時間ばかりが過ぎていた

改めてざっと見回して
まだこんなものか・・・こんなペースじゃ課題日に間に合わない


気分をどんどん入れ替えて
あたらしいやる気を掘り起こさなくては

また外に出よう
空気を外に求めるのは自分の世界観だけでは限界がきたと言う証拠

気分はどす黒く食欲もおこらない
ここ3日殆ど何も口にしてないのにだ

水の音がなぜか心にやさしい


気分的な麻痺状態
取り憑かれたように自分の絵にみいってしまった

とりあえずスーパーで食材を買おう
何とも言えない疲労感が背中から襲ってくるのを感じ一人ため息をついていると

後ろからつんつんと背中を突かれる
紙袋をもったあの少女

片手にりんごやバナナくだものをはち切れんばかりに紙袋にかかえ
自分の顔を怪訝そうに見つめる

今日の身なりはきちんと整えられていた

なんだお前かよ
今日はひどい顔をしてるだろ?
さいきんようやく創作の楽しみがわいてきたんだ
もう当分は迷わなくてすむ

少女はしまったというかんじの表情見せ
紙袋をドサっと落とすと
足早にさっていってしまった

果物?が袋からこぼれ落ちる
オレンジ?

ころころと自分の前に転がってくると

なんともいえない安楽感が少し自分の体をほぐしたような気がした

2008年7月16日水曜日

星になった空気達

雨だ
こんな日は何処へにも行きたくない
ルームメイトは青年の冴えない顔を見て
あぁあいつになったらあの絵を見る事ができるのかな
もしかしたら未完のまま私達離ればなれになるのかな

完成するさ
今までがそうだったんだ
強い意志が青年にみなぎった
またペンを取る


顔がぐしゃぐしゃになって泣き腫れたかおの絵を構想してみた
いままでにない他人に流れるような不快感を与える構図だった
こんな絵誰が飾りたがるんだよ

内なる声のもとすぐに却下になった
今必要としてる絵はなんだったんだろう
外の空気を呼び戻さなくては始まらないと外出した


街で買い物をしていたら突然土砂降りにあった

当然雨にそのまま濡れ急ぎ足で家に向かう

止まり木にまたあの少女

2度とはなしかけまいと心に決めていたが
なぜか体半分ほどのスケッチブックを大仰に開き何かを描いてるようだった

こんな天気にいったい何を?

さすがにこっそり覗き込むのは抵抗があり
やぁ、
気付く範囲でこっそり注意をさそう

意も介さないまま接近する
風船?


こんな雨の日で周りは街路樹だらけなのに
無機質な風船を何重にもかさねている

これはむしろ周りを見てスケッチをしてるのではなく
雰囲気を察知して描いてるのだろう

おもったより機敏な鉛筆の動作はまるで何かを封じ込めるような
急いで空気を真空パックにでもしてる雰囲気だ

人がこうやってかいてるすがたをまじまじと見るのはその時が初めてだった
自分の描くスピードがどれくらい遅いかがわかる


少女は突然動作をピタリとやめ
自分の斜め前を察知した

やっぱり失語症なのか

口を2〜3度ぱくつかせた

ごめん

いや自分のまちがった解釈かな
多分そんな感じの言葉を自分に投げかけたような気がした


でも
うらやましいよ
俺は自分の部屋にこもってしか鉛筆は進まない・・・
たまに外の空気を察知して描こうと思うけど
何も感じない
いや何を描けばいいのかわからないんだ

少女は耳に話を入れながらも鉛筆をとめなかった

風船?
深くは考えないようにしたが
外界との繋がりをそう表すのなら
自分にとって
環境って何だろ

その日は
小一時間ばかり描く姿をずっと眺めていた

波のない海原の前で

場面
寝坊した
急がなきゃ
青年は身支度をすると急いで美術学校へ足を向けた

講義は既に始まっていた
堂々と教室をはいるわけにはいかず申し訳なさそうにこっそりはいる
また君かね
教授は青年を発見するなりため息を漏らした
この際だから言っておこう
好き勝手に自分のやりたい事だけをやることはすごく遠回りだ
君は自分の才能を正しい方向へ導くためにこの学校へ来たのだろう
説教は続いた
青年はこの日はテンションが下がりっぱなしだった
自分の画にはまず深みも教養も開かれた感性も無いただのおたくだと
一部の人間たちに認められて何が楽しいのかと
最後に言われた

当ても無く今日はピリピリした空気で街をさまよった


あの画廊を見るとまたあの小汚い少女
素通りしたかったがまるでくいるように自分を見てる

なんだ
またいたのか
こんな所に座り込んでちゃ
物乞いかホームレスと勘違いされるよ

まるで耳にはいってないようす
焦点はいくぶかさだまってるように見える

青年はちょっと気を許して

それよりさ
俺の絵見てくれる?
こんな俺でも今度の作品は自信があるんだ


にゃん
と静かにはねのけられた

なんだよ
少しくらい真面目に見てくれたっていいだろ

まるで申し訳のないすました顔

理不尽な態度に青年は立腹し

今度立ち止まっても絶対に無視しよう
そう心に決めた


日常というのは常になんかの理不尽な事の連続でもある
ほんのささいな事でも悩みに昇華される

描きたい事
ルームメイトの心をいろんな側面を考慮して
何度も下書きを繰り返した

上手に描きたい
目標とする画家がいるからこそ
デッサンの数は日に日に増えてゆく
認められれば
パトロンのいこうに関係なく自分の好きな絵がかける

もちろん壁画のような無謀な大作を構想することもあった
しかし到底自分には技量がたりない

自分のやってること
したい事
理想

それらが複雑に折り重なりしだいに鉛筆が鈍ってきた

ただ
何となく泪がこぼれる日々
何も手に着かない日々がどれくらい続いたのだろうか?

少年は
画廊に自分のやりたい事をもう一度確認をしにいった

先客は自分一人
感じのやたらのいい眼鏡のおばさんなのかおねぇさんなのか
やたらにアニメ調の声で
どうぞごゆっくり

気が紛れるからやめてくれよと懇願したかったが

とりあえずかざってある絵に注力してみる

さすがにプロの絵だ
この流麗な線とタッチ

繊細な仕上げ

到底自分の画風では真似できないだろう

しかしこのモデルの媚びまくった表情
自分に投げかけてくれるのは安楽しかない

この絵いくらですか?
率直な疑問をぶつけると

その綺麗なおば、おねぇさんは
自分が予想する桁の3桁違う値段を自分に突き付けてきた

おいおい冗談でしょ?
そんなことばも

にこにこして平然なおねぇさんの表情には
絶句にしかなかった

しばらくして
ふぅ〜
大きな溜め息が漏れる

現実
その2文字だった
呆然と入り口の前に進んでゆくと
何か柔らかいぶったいにぶつかった

あの汚い少女だった

なんだ
客ならもっと身なりをなんとかしろよ
ここは個人のプライベートな空間だぞ

自分の理不尽な感情を偶然と出くわした人間に当たってしまった

自然と後悔はなかった

少女は
まるでまた何かに叱られるような表情
また怒られたかなって言う表情
複雑な眼差しで青年を見る

かまう事なく振り返る事なく家路につく
一人つぶやく
現実なんて所詮こんなものなのさ

2008年7月15日火曜日

賽を投げた少年

いったん保留をして別の物語を入れます



残念ですがそのお誘いお断りします
凛とした瞳を持った青年が意思を頑に突き通している

悪い話じゃないと思いますよ
あなたのその未完だが初々しい感性 
将来芽が出れば大成は間違いない

いや、自分には此処を離れられない訳があるんです
テーブルに目を落とすとそこには数々の自分の作品が散らばっている

 もう一度考え直しておいてください
答えは卒業して暫くしてからで結構ですので


自転車で帰る途中街は色づき始めていた
へぇー
こんな所にも新しく画廊が出来たんだ・・・
今の俺にはもはや関係のない事だな

郊外にある自宅のアパート
といってもルームメイトがいた
しかも異性の

あっ帰ってたの
女は青年の顔を見るなり何かを察したようだった
また誰かを困らしたんでしょ?

少しためらいがちにうつむくと

ちょっといい?
今度の新作下書きだけど見てくれる

・・・
これもしかして

うん

あたしこんなに純粋でも可愛くもない・・よ

それでいいんだよ
自分の勝手な心の目で描いたんだから
でもどんなポーズかも表情なのかも明確にわからない
ふさわしい構図
それぞれに合ったもの僕はそれを探してる

それと絵の具の量を大胆に今より減らして描こうとおもうんだ
余計なものをいっさい減らし
素材のよさを如何にシンプルに映し出すか


場面
街路樹の画廊の前


焦点の定まらないうつろな目をした少女

なんだろうここには入れないくらいみすぼらしい格好をしているけれど
少女に向かって危険だからどいた方が良いよと注意すると少し反応した後
口を必死でぱくぱくした
君もしかして喋れないの?

少女は声にならない声帯を思いっきり掻き消すかのように
ささやいた

わたしにもがざらせて

えっ?
でもここの画廊においてある絵はみんな売り物だから
余程売れてない人いがい自分の好きな絵は飾れないよ

それより君がどれくらいの実力をもってるのか

鞄から無言で額縁のようなものを忙しくとりだし
絵を押し付けるように見せた

抽象画
いろんな形の四角形だけで構成された構図
その透き通った質感と骨格感は
まるでセミプロが描いたような完成度だった

上手いね
これ本当に君がかいたの?

・・・・(気まずい空気)
もう行かなくちゃ
これ・・よかったよ、みとめられるとはおもう
お世辞なんかじゃないから・・・


家に帰ると夕餉の香がしてきた
あぁ今日も一日お腹が空くくらいデッサンをしたり動き回ったなぁ
ルームメイトと食事をする
なぜか淡々としているけれども恋人でもましてや親友でもない
たまたま学校に進学する途中で
都合が付いただけだ
今日も見てきたよ
きれいな木立だった自分の手が止まらなくなるくらい夢中で描いてたよ
いいわねあなたは相変わらず少年のようで
そう含み笑いをすると二人の夜は更けていった

2008年7月13日日曜日

夕飯

最近夢を見なくなった
というより忘れる事が本当だろう
夢がもたらす刺激は仮に崇高な学者が唱える画期的な研究結果でも敵わない
リアルなのに現実ではない
自分の世界なのに手を伸ばせば消えてしまう
仮に夢が他人とシェアできるのなら間違いなく録画して何度も鑑賞するだろう
もしかすると自分の夢の刺激がたまらなくて中毒状態の人間も出てくるかもしれない

お腹が空き
近くの弁当屋へ行く
すき焼き弁当が無性に食べたい
正直に自分の腹に従った

テレビをつけると今度はマルチに活躍しているアナウンサー
教養も美貌もあってなおかつ奥ゆかしければ素敵な人に見える

以前仮面という作品を見て
あこがれの同僚も同じように仮面を装着していたオチは陳腐だが結構あり得るんだろう
と思い切りこき下ろしてしまった

しかし地がここまで無邪気と紙一重だといろんな意味で羨望のまなざしだ

火があまり通ってない豆腐を噛み砕きながら
自分の隣に座る女性はまずいないそう思い
静かに眠る事にした

ただその時から変わったある事を強くイメージしながら眠る事にした
毎晩毎晩何度も何度も

2008年7月12日土曜日

彼女

テレビをつけるとまたあの子が笑ってた
一方的に知っているだけなのに
見つめられるとなぜか表情が緩んでしまう
あぁ歌も歌ってるんだ ・・・へたくそだな
しかし彼女はなぜかテレビをつける度自分の前に現れてるようだった

人と会うのが億劫になればなるほどこういう割り切った出会いが恋しくなるんだ
理由など本来無いのだ
好きになるのも出会う事も

カメラを持って外に出た
できるだけ自分が美しいと感じたものを真空パックに入れるかのように保存した
ファインダーをのぞけば視界は悪くなる広角で撮ってもあの迫力は再現できない
ならば意思を込めよう
自分が一番見せたいものを明確にして
そのうちそれらをネットで披露する事になる
反応は皆無だったしかし確実に何かに衝突していた

美しいものに触れたい欲求
誰にも止められなかった

2008年7月11日金曜日

不断

朝顔を洗ってると
目がすごく充血していた

連日のパソコンのチャット漬け
徹夜をする事も珍しくなく
馴れ合いじゃない本物の討論をしていた

不特定多数といっても会員専用だからおかしな事にはならないように
なるべくキャラを作っていた

そのうちいろいろな部屋へお邪魔をしたが哲学や男性学女性学
いわゆる恋愛に関しては答えが出なかった

むろん後でゆっくり考えれば良いだけの事
今悩むのは自分の言葉で悩みになった人が少なからずいる事
他人の頭に土足ではいっていた事を知り
なるべく事を荒立てないようにした


テレビをしながらネットをするうちにこれらが融合したらどんな世界が待ってるだろう
好みや価値観で人の流れは大いに変わってくる
もしかするともしかして
自分が普段からぶら下げている問題を答えてくれる人が大勢集まるような
一種の期待をして待つ事にした

2008年7月10日木曜日

ハローマム

可愛いね
お人形みたい
もっと笑って
君がいると癒されるよ

いろいろな人達が私を褒める
でもなぜか虚しい

お〜い出番だぞ
今日もしっかり笑えよ
お前にはまだしっかり稼いでもらわないといけないからな

そう私に商品価値があるかどうか
一番大事なのはそこ
だから聞こえない振りをしていた
怖かった
自分を舐めるように見る人達は
私が後どれくらいの価値があるのか目利きをしているのだから

私は一応舞台に立ってる
踊りながら時に歌を歌い
愛想をふんだんに振りまき
お金を創りだしてゆく

体はなぜか精神と心が分裂しそう
割り切ってるつもりがなぜかくるしい
自分を本当に見てほしい
誰かを求めてる
寄り添って
静かに私のそばへ








オゥ元気
nickさん久しぶり
変わった事はあったかい?
う〜んとね・・・・

馴れ合いってこんなものかと浅薄に思っていたけれど
意外に淡々としていた
飛び込むのが最初はいやだった
しかし会話を求める度に積極的な自分を確認できる
いやな事も多いけれど
ネットはいろいろな機会が用意されている
ただ者ではないなと思う人もいればなんて酷いことを言う人なんだ
という人もいろいろだ
そのうちにもうこれ以上現実に目を背けたくないと悲しむ女性が現れた
何をしているのかはわからないけれど深い悲しみの仲
自分に鞭を打ってるのだろう
悲痛な叫びだった
自分もそんないろいろな人達を見て
客観的にしか自分を披露する事しかできなくなりつつあった
それには現実を塗り替えるしか方法は無い
そう言う意味でもまだ自分はぬるま湯の中でただ見守るしか無かった

2008年7月9日水曜日

後悔

緊張は最高潮に達していた 
今まで通り行けば勝てる
そう言う確信をもとに全身スーツに身を包んだ

またしても並ぶと体格差がもろに出る 筋肉も背もみんな劣ってるけれども俺には武器がある
スタート台に立つと下を見るのではなく遠くをしっかり捉えた
負ける気はしない
号砲が鳴る
なるべく勢いよく着水するのではなく遠くへ飛ぼうと思い太ももに思いっきり脚力をかけた

ゴボゴボ
水の音が耳に響く
そして俺の武器入水して潜水をなるべく短いインターバルで足をストロークさせる
長時間する事は今までの常識では無かった
自由形では
ドルフィンキックは体力の消耗をどちらかというとおさえるのかもしれない
30m付近で顔を出す既に一位は5mライン付近まで進んでいた

体は決して柔らかくないのにドルフィンで進んでる時は水に全く逆らわないような気がする
50の折り返しここでもドルフィンキック15m進んでいよいよラストスパート
今までほとんど水を手でかいてないので全力で疾走する

ライバルはまだ見えない
5m付近になってようやく足を捉えた
だが届かなかった
ラストスパートが足りなかった
コーチから序盤から気持ちよく潜水のし過ぎなんだ
最初から相手の事など考えず全力で潜水なり腕を振れ

距離は縮むとは思っていた
自分の実力ならしかし一番にはなれない
誰もやらない常識をやってみても勝てない
俺は体の衰えをそのうちに思い知り
手遅れだったあの勝利への余韻へ二度と浸る事は無かった






音楽を聴いていた
とたんにいろいろな情景が浮かぶ
懐かしい曲10年前以上の自分がまだ青かった時代に貪っていた曲
テレビで視聴する事も今はでき
プロモーションビデオと呼ばれる販促用の映像をそのまま流してるだけなのだが
カット割りが早く結構自分の映像に参考になる
というのも映像をもとに昔は構築していたから
飽きっぽい自分、あきれるくらい気が多い自分
何事にも限界がある事を信じていた
何かに刷り込まれるまでは

2008年7月8日火曜日

奴隷

さぁこれを使いな
そう言うと一粒の種を老人は自分に差し出した
これを齧れば俺は軽い興奮と覚醒で志気が上がる

さぁ今日もいってこい
良いな生きて帰るんだぞ
背中をポンと押された

進めば強烈な光を感じる
激しい喧噪の中俺はリングに上がる

相手は自分より20センチも上背があってニタニタと自分を舐めるように眺めてる
ゴングが鳴る

相手はジャブを出してきたと同時にハイキックを自分の頭上に出した
多分後頭部に当たったのだろう一瞬目の前が真っ暗になった
しかし痛みというシグナルはこのときは無い
さっきの種名前は知らないが体の全神経が麻痺する
相手がばてるまで好きなだけパンチを食らう
そしてフィニッシュはカウンターでボディブロー

相手は苦悶を浮かべながら倒れた
これでよかったんだ俺はかすかに響きだした痛みに目覚め
静かに倒れる

終わる
終わるんだ
そう思うと最前列の席から誰かが呼びかけていた
目の前には妻と子供
必死で涙をこらえて自分をここから解放したがっていた
ごめんな幸せをも見届ける事ができなくて
生まれ変われたら今度は







工事が完了しました
元々集合住宅なんで料金は結構リーズナブルですよ
そう言うわれるまま俺は自分の部屋にケーブルを引いた
早速パソコンを立ち上げて
インターネットをブラウズする
最初は自分の好奇心を満たすものを主流にしていたが
ある程度行くと質問がしたくなって掲示板にいった
そこは会員制でハンドルネームが必須だった
nick 日記をもじったこの名前
今日から俺はここでいろいろな人とコミュニケーションを繰り広げる
人を信用できたのだから易いものだと思った
だが現状は少し違っていた
全てを見下ろす何かに自分は感づき始めていた

2008年7月7日月曜日

惰性

起きて
ちょっと
大丈夫


誰かが目の前にきた
コップ一杯の水を持って
静かに自分の前に差し出した

そうか俺は脱水症状でここに倒れていたんだ


でもなぜここがわかったんだろう一人になりたくてここで迷っていたのに

あなたが死にたくないってうわごとのようにいってるのを聞いたから

確かに死が怖かった
何のために生きてるいるのか
生きてる価値はあるのか
一番考えては行けない事を真剣に考えて

フェードアウトしてゆく記憶も存在も
ただ魂のよりどころさえ求められれば・・・・










朝よ
いつも通り親に起こされる
汗がべっとりと首の周りを包んでいた
シャツを着替えようとすると体から血の匂いが漂った
確かにこれは・・・・
シャワーでしつこく落とそうとしてもとれなかった


実家を行ったり来たりするようになってから自由な日々を送る
昼間で寝てる日もあれば
一人暮らしの家に帰りやりたい事をやる

街は二つに分断され
自分のスペースが完全に孤立してしまった
玄関のポストをチラシ覗くとネットを接続していなかった事に気付いた
よし、ここらでやってみよう
そう思い工事を申し込んだ

2008年7月6日日曜日

自我

やはり今日も警戒されている
顔はやつれてきているのに気付かないのか
いくつもの命を犠牲に生きてきたけれども
既にわかった
断末魔の悲鳴
見ただけで恐れるような瞳

もうこれきりにしよう
命を奪うのはこれきりにしよう
俺は自我を持った肉食獣

たまたまそういう風に生まれただけだよと言ってくれた
あの補食した動物

変わってしまった何かが

似てる奴らはみな去っていった
自分の変わった価値観で孤独になるよりは良い
皆生きる事を望んだ

徐々に弱っても良いここで後は考えるだけだ







気がつけばいつもと違う部屋で寝ていた
道理でいつもとは違う夢を見るわけだ
そうか俺は実家に帰ってたんだ
香織からはあれから音沙汰が無い
言いたい事をぶちまけて絶交するんだろうと覚悟はしていたのだが
家を出て
白昼堂々と手をつないで歩くカップルを見て
女友達から恋人に発展する事はまず無かったなと後を振り返った
大切なのは彼女と男友達だ
歳の差に差異はつきものだけど
生きてる分自分をある程度把握できるだろう

食生活が一人暮らしだからでたらめになった
だから母親の手料理で精力をつけようと戻っていたのだが
つい泊まってしまった
家に帰るのが少し楽しみになったなぜか新鮮で待遇もいい
毎日とは言えずとも親の顔だけはしっかり確認すべきだと思った

2008年7月5日土曜日

本編

どんなに離れていてもわかるものだよ
本当の孤独とは注目されつつ誰とも相容れない事
だがあなたはきっかけをくれた
名前を付けてくれた 
後はあなたの腹の中から這い出る事だけ





モカをください
おかわりは自由で

ここは喫煙席ですがよろしいでしょうか?

えぇ結構です
好きなんですこの匂いが

30代半ばの帽子を目深にかぶった女性
誰かを待つわけでもなく途方も無く周りを見渡す

皆談笑を繰り返してるようでとても平和だ

徐にメモ帳を取り出すと女はある事を書き始めた
今までの男の遍歴と何やら化学式のようなもの
女は相関図のようなものも付け足した
女かしらそれとも男かしら
独り言を言うと
静かにお腹をさすり新しい生命の誕生を優しく確認した

すると突然喫茶店が殺伐とした雰囲気に包まれた
おぉここに真理子はいないか
男は突然怒鳴ると
真理子の席に行き
裁判所から通達だお前今日から拘置所行きだぜ
真理子
彼女は理由を確かめるかのように強い目で睨んだ
あれだけ倫理を冒涜したんだ
終身刑にでもなりゃ良いんだ

真理子は静かに席を立った
取り調べを受ける覚悟を既にしていたかのように

そして裁判で
泣きながら彼女は訴えられた
この女に俺は人生をめちゃくちゃにされたんだ
人類が2000年以上かかって手に入れたものを簡単に奪った
もう後には誰も続くものはいない

彼女は省みる事無く実刑を受けた

その後彼女は女の子を出産した
しかしその直後に男の子を産んだという噂も流れた
双子の兄妹は
身元が分からないまま消えていった
女は深く悲しみ社会からいつの間にか消えた



ポーン
また夢か
インターホンの音で自分に返る
1kの部屋にはまだ真新しいテレビがある
床の上にはラップトップのパソコン
机にはデスクトップのパソコン
皆同じに見えるが役割は違う
趣味と仕事と社交辞令、癒し
話題を作るためにテレビを後ストレス発散とイメージを
趣味で文章を音楽をやるためにラップトップ
ビジネスソフトを走らせるのにデスクトップ
こなすには必要だった
生活できなければ趣味も話題も作れない
腐った生活でもメリハリを付けるように汗を流すようにしている
外に出て軽いジョギング
しばらくして近場の喫茶店でミルクコーヒーを飲む
狭い喫茶店だがそれがまたよく煙草のほのかに染み付いた店内がなぜか懐かしさを誘う
帰っても何も手につかない時そんなときは頭を空っぽにできるテレビを見る
あぁまたこの子か
なぜか無邪気に笑うタレントに癒される
誰か身近にいてほしかった
笑顔の温かい人

2008年7月2日水曜日

錯綜

崩れた関係は二度ともどらない
形を変えて色を変えてまた自分の元に返ってくる
いまここでもう一度自分に問う




映画館に久しぶりに足を運ぶ
子供の頃親に手を引っ張ってもらい誰もが安心してみられるアニメを見てた事を思い出した
今は一人で鑑賞に堪えうる孤独ないわゆる病的な愛着を持ったアニメに執着していた
赤の骨格のタワーは巨大ロボットの腕で思い切りひしゃげられ過去をいきなり描写したり
人が枯れ枝をポッキリ折るかのように死んでいったり
自分のフィルターでそれが何倍にも増幅されその頃から自分の世界に拘泥する快感を覚えた
誰か後ろで見てる気が・・・
気のせいだろう
終わると後は複雑な路地裏を通ってゲームセンター
今では信じられないが自分の学生時代の大半を捧げてしまった
熱狂は凄まじいものがあったから
あの空気を確認するだけに自分はただ宛も無く行くのである
街 待ち 真知

あの時出会わなければなんでどうして俺は普通の人生を・・・
いや自ら望んだ事だ
気付けば回転焼きやたこ焼き屋が並ぶ商店街の入り口を前に
少し気後れをし
自分だけに与えられる時間を確認しに家路についた