コウタ起きなさい、もう時間よ
母親の催促で少年は布団から出る
もう秋だというのになぜかポカポカと陽気だ
今日は週に一回の休みの日でドライブなんだから・・・
もう行き先は決めた?
うん、西の方へ向かいたいな
あなた聞いた、今日は目的地無しですって
今で新聞を開いて座り込んでいる父親に聞く
ま、たまにはいいだろう。そうだ今日は安全運転で行くぞ
朝食は取らずに車に乗り込む
母親は化粧や身支度で暫くして乗り込んできた
ごめんなさいちょっと手間どって、さぁ行きましょう
車はゆっくりと走り出す
お父さんの運転だと安心して眠れるよ
はは、信頼してくれてどうも
車は郊外を抜けやがて田園の風景へと足を入れる
あら、コスモスの花があんなに奇麗
母親は目を輝かして窓から顔を伺わせる
もうすっかり秋か
何の変哲も無い交差点
その時、勢い良く脇の道から車が飛び出してきた
対向車に乗っている運転手の女の目がカッと見開く
急ブレーキの音がけたたましく響く
辺りの風景が真っ白になって気を失った
どれくらい経ったのだろう
気が付けば車の中にひとり残されてるようだった
事故の跡は無い
あれは夢だったのだろうか
少年は車から足を降ろす
辺りは霧がかかっており
視界は何も見えない
父さんと母さんはどこへ行ったのだろう
急に風鈴の心地よい音が聞こえてきた
その音を辿れば何かがありそうだ
そう思った少年は坂道になっている道を歩んだ
風鈴の音を辿るとそこは民家のようだった
しかしただの民家ではなく何かを展示してある
よく見るとそれは陶磁器だった
気が付くと母親が急に傍に立っていて陶磁器を眺めていた
ほら、きれいな模様ね
これは
いつの間にか父親が無言でその様子を眺めてる
こっちにはもっと大きな窯元があるわよ
母親にそう促され立派な技を施した磁器がある
大きな壺や動物を形どった立派な陶磁器が展示してある
笑い合いながら少年はそれらを堪能した
楽しい時間だった
こんな平和な時がずっと続けばいいそう少年は感じた
そろそろ帰ろうか?
そう小年が促すと
そうね、
母親は少しうつむいて
何かその表情には残念さとせつなさが表れていた
父親はまっすぐ少年の顔を見て
お別れだコウタ
父さんたちは別の世界へ行くよ
駄目だよ置いてかないでよ
気付けば病院のベッドに少年は眠っていた
気が付いたか
君は生き残ったんだよ
白衣を着た老人がそう告げた
僕は一体
左手にしっかりと握られてる粘土のかたまり
少年は今自分に降り注いでる境遇を握りしめるかのように噛み締めた
さようなら
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