2008年11月10日月曜日

レンタルハッピー

少女は裏通りを抜けて
ある店へとたどり着いた

分厚いめがねをかけた受付の男にむかい
幸せ売って欲しいの

おやおや誰かと思えば未成年の子じゃないか
どこでここを知ったのでしょう
まぁいい
予算はどれくらいでしょうか?

これで
そういうと少女はどこから工面してきたのかわからない50万円の札束を出した

ヒヒヒそれっぽっちじゃ幸せどころか快楽も買えないよ

そう私には今これくらいが限度だよ

おっとこういうのはどうですあなたは幸せをどれくらいほしがってるかはわからないがお試しで
一週間いえ一日幸せを味わってもらいます

料金は?

そのときの気持ちでオーケーです

ずいぶんと儲かってるのね

気前の良さと言ってください

ささ早く家に帰って子供はもう寝る時間ですよ



私の好きなもの
人を観察すること
何かに追われながら答えを探すこと
欲しいものは奪えばいいこと
結局間違いだった

人が笑顔で通り過ぎる姿がどことなく羨ましい
自分がもしああいう立場だったら
一度でもいいから幸せになりたい

家に帰っても、両親はいない
二人で旅行中帰らぬ人となった

以来おばあちゃんと二人暮らしだ

玄関を開けると冷たい風が吹くはずだった


パン
突然クラッカーのはじける音
紙吹雪が私の前に舞った

おかえりなさい
にぎやかな人たちが私を迎えてくれた

ほらそんなにきょとんとしてないで早くこっちへ
女の人に誘われるまま家の中へ入った
何か飲みたいものは?ビールなんかマダ早いかしら


あなたは?
率直にきいてみると
いやだわ母親の顔すら忘れてしまうんですもの

あなたの実の親

はぁそうですか
ため息のようなものが漏れると今度は

おねぇちゃん写真撮ろ
今度は楽しそうに笑う少年がきた
写真なんて撮ってもらうの何年ぶりだろう

あらたのしそうね、自分より少し年上の女性が横に座った
お酒が入るとね少しやな事忘れちゃって
いつもあなたに頼ってばかりだったね今日はおめでとう

今日?

そうだった今日は自分の誕生日

しばらくすると自分の大好物のミートパイやオレンジケーキが並んだ

私が忘れてたもの
笑顔を楽しむこと

人が信じられなくなったとき裏切る側へ回ってしまったこと
迷ったとき簡単な答えで済ませてしまってたこと

きっと単純なんだ少しの勇気と優しさ
それさえ手に入れば幸せなんてそう遠くはなかった

しばらくするとお父さんらしき人が帰ってくる
よせばいいのに一気のみをして場を盛り上げる

おまえがこんな年になって前はもうこんなに小さかったのに
父は涙で自分の誕生日を締めくくってくれた

トゥルルルウル
電話が鳴った
はい あぁえぇいまたのしんでたところです
代わりますね

母はそういうと受話器を私によこした

あぁおれ
え?
俺だよ卓
同級生の

何のようなの?

電話でしか照れくさくていえないけれど誕生日おめでとう
そしてありがとう

もうつきあってもいい頃じゃないのかな俺たち

顔も見たこともない人にこんなことを言われてもピンとこない私

一度あって話がしたいんだろ?
そう、顔に書いてあるよ

卓は見透かしていた

駅のロータリーで待ってるよ
笑顔がみたいな

そういうと受話器は切れた

0 件のコメント: