ねぇ笑ってよ
はは、笑ってる
ねぇもっとこっち向いてよ
ファインダーを覗く自分はまるで彼女に虜だった
僕は今夢中だ
もうすぐだ、自分の心を写真ではなく言葉で吐露することを
彼女の瞳を見つめる度に何か新しいものが見つかるんだ
もう僕は君だけの自分だから・・・
交差点を挟んだビルの一角
オフィスの一角では物騒な感じを漂わせる刑事がいた
朝は忙しいなぁ、君はどう思う?
何がでしょう?
この世には秤にかけられることと掛けられないことがある
それが人間の罪だ
私は・・・
こんな物騒な世の中だ君の無能さではいちいち説明しないとわからないのかね
それは・・
あぁごめん私の言いすぎだ
少し疲れてたのかもしれん
例えばこんな夢を見たことがある
悪魔がこの世に存在するならどんなにひどい容貌でもそれを受け入れることができる
しかし自分と同じ格好でしかもうつくしすぎる存在だったら・・・
こんな事件を見ててそう思うよもはや我々は新しい価値観を受け入れ作るべきだということを
私はそうは思いません
しばし窮屈な思いをしていた本田百合子は朝からいら立ちを抑えきれない上司
館勤にそう言った
これは人間がしたことですから
絶対に私たちでも理解できる
話し合いさえすればきっとこの事件は解決する
ふ~
犯人が捕まっても証拠がなければ埒が明かない
ここ最近は家にも寝泊まりできないがきみはがんばってくれ
はい
某、都心にある大学
学生はいろいろな趣で足取りをたどる
一眼レフカメラ、ポラロイド、デジタルカメラ、インスタントカメラ
いろいろなカメラを携えて
近藤治夫は悠然と校舎へ向かう
カメラはいろいろ試したけれどデジタルのような鮮やかさはないけれど
あの温かみのある現像が必要な感光写真に夢中だ
ポラロイドで昨日突然彼女の前に、彼女、立脇貴子に写真をとってもいいか聞いたけれど
私を撮るってまさか本気?
彼女が自分の美しさに気付かれる前に早く撮りたかった
じゃいくよ
真正面いや斜め前に浮かんだ情景をイメージしながら
光は彼女をやさしく包んだ
突然画面前面から押し出されてきた淡く白い繊細な肌を逃さずに描写していた
いいねぇ
ちょっと
自分だけずるいよ
私にもみせて
今度また焼き増しするから、その時また撮らせて
スカートもいいけれどたまにはパンツ姿も・・・
やだ、自分の趣味を押し付けないでよ
男と同じ格好なんて今はできないよ
そう、写真を撮ってる近藤君目が違ってるね
何かを捕えて離さない
ふふ、きっと他の女の子たちにも夢中だね
僕は写真魔だ
抑えきれない美しさを見ているとついつい狙ってしまう
立脇もまんざらではなさそうだった
大学の構内ではちらちらと寒気の厳しさが様を呈してきた
そろそろ冬になる
また新しい何かを見つけに
いつか続く
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