2010年12月4日土曜日

サーチャー

人をさがしている
身元はよくわからない
写真は用意してある

これだけではわからないよ

心配するな寝床だけはしっかりわかる

道具は?
狙撃銃とトカレフ
そして至近距離用のアーミーナイフだ

アーミーナイフをくれ

そしてその晩
依頼を受けると確実に夜空に鮮血がほとばしる
仕事の手際のよさは天下一品だった
あとの処理は私たちが付ける
お前は家で待機しなさい

高級マンションの3階の一室
何故かインターホンを押してしまう
男は静かに部屋にはいる
1LDKと手狭だがなんでも揃っている
部屋の一室で猿轡をして縛られている女がいた
以前宅配ピザを頼んだ時トカレフをパンツに挟んでいる姿のまま出ていってしまった
躊躇している暇はなかった
男は女を監禁した

睡眠するときも女は必死で泣きながら何かを言っている
男は仮眠を取るしかなかった

人をさがしている
写真はないが役職はわかる
狙撃銃をくれ
昼の街
建物が所狭しと映えている
暗殺を昼に選んだのは最近夜にアレルギーがある
目星をつけた男は最上階から頭を狙い引き金を引く

あまり楽な殺し方では実感が希薄なのだが
何かに怯える自分に気付き始めた

人をさがしている
写真も経歴も住んでいる場所も分かっている
そうか
男はその写真を見て戦慄した
その婦人はね
お前のスパイなんだよ
なにか?
いや、ちょっとだけ見たことがあって

男は冷静になった
トカレフの弾倉をチェックした
家に帰る時インターフォンを鳴らさず
蹴破るかのように入った

銃口を構えた先には
誰もいなかった

ベランダの戸が既に空いていた
風が吹き抜けていた
女は少しの残り香も残さず消えていた
いつでもここから抜け出せる状態だった
男はまた戦慄した
海外に高飛びをする計画があった
もはやどうでもいい

0 件のコメント: