2010年4月15日木曜日

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お母さんが面会ですよ
そう呼ばれると
いつもの通りバナナと1カートンの煙草があった
だいぶ順調のようね

うん
友達も少し出来たよ

看護婦さんとお医者さんの言う事をちゃんと聞くのよ

母の去った後はいつも爽やかだった
言い方は不器用だけど最後に何も残らない

俺は複雑骨折で入院している
今でも後遺症に苦しみ
リハビリ以前に回復を待っている

食堂で食べる食事はあまり美味しくなく
母親が持ってくるタバコを中庭で独り煙を静かに吐き出すのが楽しかった

ここには誰も入ってはこれない


夜はデイルームの喫煙場所で吸う

よく出会う人は二人
俺と2つ3つしか変わらない男
健司

名前は知らないけれど
神出鬼没で現れる中年の人

よく三人はたばこを吸う時間帯が合う

健司は
最初懐かしい感じがした
初対面の時もどこかで確かめたような顔だった

吸っている銘柄が年のわりにあまりに毒々しかったので
興味本位でもらってみると
とてもじゃないが同じタバコとは思えなかった


タバコは大人の火遊びだな

そうですか
僕はおしゃぶりだと思いますね

そういつも問答しあってる中年のおじさん
笑顔がまるで少年のようにあどけなく

落ち込んでタバコを吸っているときなんども慰められた

1mタバコなんてすって意味があるんですか?
突然聞きたくなった言葉
おじさんはそれ以上言い返さなかった

外のデイルームでタバコをいつものように吸っていると
少し若い美人な人がやってきた

なぜか笑顔が絶え間なかった
ここにいませんでしたっけ?

突然女性は自分に聞いてきた

え?

いや、いいんです
また来るんで

その女性はいつも何かを探してる様子だった

病院というものはとてもじゃないが精神が滅入るところだ
その時の笑顔というものは
何ものにも代え難い


健司はほろりと漏らしたことがあった

俺のお母さん?
あぁ若いよ
たしか18の時の子供だから

え?

まだ30代かそこら?

俺の母さんなんてもう60にも手が届きそうなのに

相変わらず俺の吸うタバコは9mのラーク
これ以上タールを上げることはしないし
また禁煙も考えたことがない

後で看護婦さんにきいたら健司は
母親と面会謝絶をしていた

それでも親はいつでも子供のことが心配なのだ

あんなにタールのきついタバコをすってる彼には何かしら理由がある
そう考えた


食堂できょうも美味しくないと感じながらも
食事をたらふくお腹に入れる

その後に吸う一服
何とも言えない

おじさんは
タバコなんてすっても何もいいことないよな?
素っ頓狂に聞いてくるものだから

思わず笑って
そうですね
僕もそう思います

日差しも少し当たたくなってきた

俺は母親にタバコの差し入れを断るように申し入れるよう考えた

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