2011年1月27日木曜日

セブンスター

桜の季節になると出会いがやっていくる
少し思うけれど青春って結構思ってたより淡白だ
あれだけ自分の中では燃え上がったことも過ぎてしまえばあっという間に消えてしまう

中学三年の春
その出会いはやってきた

ヒョッコリ背の出た猫背気味の彼
転校生だった
何をやるにも少し億劫そうな顔
勉強もスポーツもそこそこ
なのに

自分の心だけが異常に燃えあがってしまったよ

話しかける隙もない
微妙なしぐさはますます虜になってしまった

昼休みの時間にひとり黙々と何かをしていた
弁当だった

彼は恥ずかしそうにペッカペカのピンクのハート型の弁当箱を広げて
無我夢中で食べていた
きっとみんなの前では恥ずかしかったんだろう

放課後
体育館裏の掃除を居残ってしようとしていたら

彼が紫煙を上げて一服している姿を目撃してしまった
なんて偶然

但し話しかけようとはせず
黙々と煙草をすっている姿に見とれていた

後で行ってみると吸殻が落ちていた
銘柄はセブンスター

あんなにおぼっちゃまふうな優等生を気取っているのに
こんなことをしてるんだ

私の中では彼をセブンと呼ぶことにした

セブンは相変わらずマイペース
友達の反応もマイペースで
誰とでも歩調を完璧に合わせることはなく
ふらふらっと
今日も廊下を歩く

今日も放課後
教室の掃除を居残ってやっていると

運動場の中で黒塗りの外車が止まっていた
中から出てきたのは驚くほど美人な貴婦人

そして近づいてきたのはあのセブンだった

速く乗りなさい

そう促しているかのように見えた
セブンのしぶしぶしたその仕草に
はじめてれっきとした態度を見た気がした

彼はその車に乗った
お母さんと思える人は何ら表情を変えることなく運転していた

後日彼は転校したことを知った
何でも父親は生まれた時からいなくて
母親一つで育てられていたそうだ

セブンスターを吸って空をみあげていた彼の横顔が未だに忘れられない

又桜の季節が来る。

0 件のコメント: