桜の季節になると出会いがやっていくる
少し思うけれど青春って結構思ってたより淡白だ
あれだけ自分の中では燃え上がったことも過ぎてしまえばあっという間に消えてしまう
中学三年の春
その出会いはやってきた
ヒョッコリ背の出た猫背気味の彼
転校生だった
何をやるにも少し億劫そうな顔
勉強もスポーツもそこそこ
なのに
自分の心だけが異常に燃えあがってしまったよ
話しかける隙もない
微妙なしぐさはますます虜になってしまった
昼休みの時間にひとり黙々と何かをしていた
弁当だった
彼は恥ずかしそうにペッカペカのピンクのハート型の弁当箱を広げて
無我夢中で食べていた
きっとみんなの前では恥ずかしかったんだろう
放課後
体育館裏の掃除を居残ってしようとしていたら
彼が紫煙を上げて一服している姿を目撃してしまった
なんて偶然
但し話しかけようとはせず
黙々と煙草をすっている姿に見とれていた
後で行ってみると吸殻が落ちていた
銘柄はセブンスター
あんなにおぼっちゃまふうな優等生を気取っているのに
こんなことをしてるんだ
私の中では彼をセブンと呼ぶことにした
セブンは相変わらずマイペース
友達の反応もマイペースで
誰とでも歩調を完璧に合わせることはなく
ふらふらっと
今日も廊下を歩く
今日も放課後
教室の掃除を居残ってやっていると
運動場の中で黒塗りの外車が止まっていた
中から出てきたのは驚くほど美人な貴婦人
そして近づいてきたのはあのセブンだった
速く乗りなさい
そう促しているかのように見えた
セブンのしぶしぶしたその仕草に
はじめてれっきとした態度を見た気がした
彼はその車に乗った
お母さんと思える人は何ら表情を変えることなく運転していた
後日彼は転校したことを知った
何でも父親は生まれた時からいなくて
母親一つで育てられていたそうだ
セブンスターを吸って空をみあげていた彼の横顔が未だに忘れられない
又桜の季節が来る。
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