電車はゆっくりと郊外を走る
研究都市ともうすぐ呼ばれるこの地帯は山の掘削がもう始まっていて
後数年経てば外形が様変わりしてるのだろう
40分近くたっただろうか窮屈なトンネルが
所狭しと配置してある
天然の岩肌をそのまま残し
アトラクションのように暗くなってゆく風景を楽しんだ
ここらで一度降りた方が良いな
そう感じた自分は
無人駅にひっそり足を踏み入れた
海岸線沿いだったからもうすぐ海が見える事はわかってる
自分の足で確かめたいんだ
そして目の前に広がった世界
とても写真には納まりきれない雄大な風景
島があり水平線があり波があり空があり
誰もいない砂浜でただこの世界は何処から何処へきたのか
自分の世界を遥かに超えた力を見た気がした
またくるよ
途中砂浜を降りるところでどこかで嗅いだにおいがした
線香だ
気付けば先祖の墓参りの後だった
いまの命
誰かに繋がれた命
望まれてこの世に生まれた
だが
自分が好きになれない
事実だった
結局家に帰って写真が一枚ものこってはいない
あれはなんだったんだろう
その時家のインターフォンがなった
集金だろうな
だが新しい別の世界への入り口がまだ待っていた
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