小生
生まれて此のかた外の世界を知らず
生まれた時は8人兄弟だったけれど残ったのは自分一人
母親のぬくもりも知らなければ兄弟の連帯感も知らず
この家に生まれ死んでいく
誰もが当たり前だった
二階からどたどたと足音が下りてくる
たぶんこれは
ちくしょうまた勉強の成績があがらねぇ
このうんちきしょーお前のせいだ
お腹を思い切り蹴り上げられる
派手に転べば彼らはおもしろがるだから身をヒョイッとひねって何事も無いかのように別の部屋に行った
台所ではこの家の母親が家計簿を眺めている
あ〜何でこううまく家計が回らないのかしら
ちくしょうめあんたのせいよ
今日は晩ご飯抜きだから
せいぜい二日に一回食べられるのならそれで幸せなり
あ〜またあいつだえいあっちに行け
小学生の弟
エアガンでいろんな部分に乱射される
小生
毛並みはもうぼろぼろであちこちが栄養失調と虐待で禿げてる
でもこれが愛情の証だと思ってる
外に出たいとドアを削ってもしっぽを握られ引きずられるだけなり
夜主人の帰る頃合い
一番身の毛がよだつ時間が待ってる
小生酒は大の苦手なのに
無理矢理口をこじ開けられ酔わせる
ふらふらになったのを家族は笑う
でもこんな小生
いつも出る言葉はありがとう
虐待を受けている最中にもありがとう
それが愛情の表現だと思ってるから
あらあらこんな顔をして母親の猫が見たらびっくりするわよ
思わずこの家の母親殿がぽつりと漏らした
小生の母親は生きてる
そう思うだけで会いたいという気持ちに駆られた
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