2008年3月15日土曜日

Smile your left eyes

こんな俺でも人生は順風満帆だった
何も罪など無かった
だけどあの事件
あのミスで俺の人生は変わった
仕事の帰る途中バイクで人をはねてしまった
たった一度のミス
以来被害者の口座になけなしではたいた金をせっせと納めていた
唯一の贖罪だった

ある日被害者が会いたいという電話がかかってきた
今まで自分に与えられた罰はまだまだあったけれど
これでいいのだろうか
疑心暗鬼のまま会えば
相手を傷つけてしまう

俺はその時から人生が変わった
車椅子から離れなければ何ら変わりない女性
そこには俺の罪は存在しなかった
屈託の無い笑み

だけど 
まだ恨んでると思ってるだろうか 
いや 
許せないとでも思ってるだろうか

いらっしゃい今日一日は我が家でゆっくり過ごしてくださいね
入り口で快く迎えてくれた
事故の事はいっさい話さずに
ただ人とのふれあいが楽しそうだった

帰りに
また会ってくださいますか?
実直で素直な欲求
その言葉にきょとんとした
何を求めているのか自分にはわからなかった

会うたびにその人はきれいになっていった
そしてそれに反比例するかのように後遺症は悪化していた

残された時間がわずかという事は説明を受けずとも理解できた
あの人が笑ってくれるなら
あの笑顔を失う事になるくらいなら

真っ当に稼ぐ事を知らない俺は悪事にどんどん手を染めた
罪の意識を持ちつつも
俺はこんなあたたかな人の人生を奪ってしまった
多分目を失っても彼女は今手を染めている俺の悪事を感じ取るだろう
どうすれば?
あの事故を何かのきっかけだと思うようになり
人生を転換させようと考えた

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