こんな俺でも人生は順風満帆だった
何も罪など無かった
だけどあの事件
あのミスで俺の人生は変わった
仕事の帰る途中バイクで人をはねてしまった
たった一度のミス
以来被害者の口座になけなしではたいた金をせっせと納めていた
唯一の贖罪だった
ある日被害者が会いたいという電話がかかってきた
今まで自分に与えられた罰はまだまだあったけれど
これでいいのだろうか
疑心暗鬼のまま会えば
相手を傷つけてしまう
俺はその時から人生が変わった
車椅子から離れなければ何ら変わりない女性
そこには俺の罪は存在しなかった
屈託の無い笑み
だけど
まだ恨んでると思ってるだろうか
いや
許せないとでも思ってるだろうか
いらっしゃい今日一日は我が家でゆっくり過ごしてくださいね
入り口で快く迎えてくれた
事故の事はいっさい話さずに
ただ人とのふれあいが楽しそうだった
帰りに
また会ってくださいますか?
実直で素直な欲求
その言葉にきょとんとした
何を求めているのか自分にはわからなかった
会うたびにその人はきれいになっていった
そしてそれに反比例するかのように後遺症は悪化していた
残された時間がわずかという事は説明を受けずとも理解できた
あの人が笑ってくれるなら
あの笑顔を失う事になるくらいなら
真っ当に稼ぐ事を知らない俺は悪事にどんどん手を染めた
罪の意識を持ちつつも
俺はこんなあたたかな人の人生を奪ってしまった
多分目を失っても彼女は今手を染めている俺の悪事を感じ取るだろう
どうすれば?
あの事故を何かのきっかけだと思うようになり
人生を転換させようと考えた
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