2010年2月2日火曜日

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親から突然電話があった

お前もそろそろいい年なんだから将来のことを真剣に考えて欲しい

縁談が揃った

目を通すだけでもして欲しいと


 

出会いが欲しいものですな


 

はっと我にかえった

気がつけば喫茶店で居眠りをしていた


 

フフ、今日はぐっすりと夢の世界に浸かっていたようですね


 

気がつけばマスターが後片付けをしていた


 

パソコンの小脇にはプロフィールの書かれたお見合いの資料


 

この年になっても結婚は絵空事のようだった

親を安心させるためとはいえ自分の人生までは曲げたくない

映画やドラマのようにそのうちにね


 

誰か自然に舞い降りてくるものだと

そのうちに気付けば良い

妥協も人生には必要だということを

いや夢を少し現実へ向けることを


 

相変わらずマスターとこじんまりした雰囲気でやっている今のスタイルが至福に近い

誰がなんと言おうと

今が幸せなのかも知れない


 

これどうぞ


 

気がつくと小皿に盛られたガーリックチップ

少しつまんでみてください


 

香ばしさとその後に来る独特の苦さ

思わず癖になった


 


 

数日後

窓をぼんやり眺めるといつもの黒猫がいなかった

かわりに可愛い白と灰色の混じりけの子猫が窓をひっかいてる


 

あっ

自分は思わず声を上げた膝の上に珈琲をこぼしていたのだ

そして、ばつの悪い時間が始まった


 


 

お客は相変わらず自分だけ

店内をゆったり見回した時点で自分の空間だ

すると

ドアの音がガチャリとなった

気がつけば前進をコートで覆った女性だった

たぶん30代半ばだろう


 

いらっしゃい

女が目配せをすると


 

あぁいつものやつですね

少々お待ちくださいと

マスターは颯爽と消えて行った


 

女は上着を脱ぐとかしこまった姿勢で何かを待っていた


 

お待たせしましたと出されたのは見たこともない焼き飯のような料理

サブドリンクも抹茶のようなものが出てきた


 

思わず近づいてきたマスターに

なんですあれ?


 

あぁ特別にお出ししています。

いつも常連さんなんで

細かい注文を聞いているうちにオリジナルメニューができちゃって

でも、手間がかかるのであの方だけにしています


 


 

まさか自分よりも通っている常連がいたなんて

軽いショックと共に嫉妬の感情が生まれた


 

女はお茶を軽く口に当てた

微かにため息が漏れたようだった


 

いかん、自分の仕事にはいらなきゃ

あの大きな窓

あの窓を眺めるポイントに席をとれば筆は進むのだ

ジンクスは少しでも大仰が良いかつわかりやすく


 

女の焼き飯を頬張る音が聞こえた

はふはふ、熱いのを我慢して必死に口に入れている


 

あのお茶を口に含むのとは対照的に


 

出会いがあると良いですね


 

マスターはニコニコしながらカウンターからこちらへ語りかけたようだった。

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