2010年2月17日水曜日

正直

俺は過渡期だなと感じる時が多々ある

今日もそんな時だ

自分がバイトをしているラーメン店

この不景気の中、客足は徐々に途絶え始めていた


 

味には特にこだわりはないがお客さんに安くて美味しいものを提供したいなぁ

いつも店長が言ってる口癖


 

だが隣三軒にどこのチェーン店でもないけれど安すぎる値段でラーメンを提供する店ができた

早速入っては見たけれどこれがと思うような味でこれでというような値段

感動もスッきょうもない

しかし財布には優しい


 

良いものを出せばついてくる時代は終わったんだ

だが、安かろう悪かろうでもない


 

ニーズはどこに隠されているのだろう


 

俺は自宅の1kの手狭な台所で寸胴を毎晩のように炊いた

いろんな店を食べ歩くべきなのだろうけれど

自分が良いと思ったものなら何でも試してみる

それは別に和風だしに拘る必要もない


 

バイトは徐々に時間が減らされ

自分の暇な時間は増えていった


 

そしてある日

一念発起

俺は自分の店を持つことを決めた


 

最初は小さな雑居ビルを借りる予定だったが

どこにもいい物件がない


 

挙句の果て

不景気の折超一等地と言える駅前のテナントを見てしまった」

いやいや、お客さん

今はここが旬ですよ

大手は駐車場が広く確保出来る店舗を選ぶきらいがあって

ここなら今なら破格の値段で貸すことができます


 

しかし、原価を計算しないと分からないがどう考えても

自分の理想とするラーメン店舗の値段で提供出来るのか


 

ここはね高いか安いしか知らないお客しかいないんだよ

ふと店長が誰かと会話をしている言葉を聞いた


 


 

そりゃそうさ

上もない下もない世の中に俺たちはいるんだ

自分の口にするものくらい選ぶ権利はある


 


 

俺は決めた

とことん自分の納得するものを提供すると

それには価格など関係はない


 

材料は直接見本市や専門の食材屋に行って直接確かめるようにした

納得の行くものを何度も何度も目利きし

試作したスープは上々

しかし、自分のおいしいものというものは作るのが簡単だ

それを受け入れてくれる舌がどれだけいるのだろうか


 

テナントもすでに手付け金を支払って

借りてしまった

ガスや水道を敷けばどれだけ経費がかかるかも未だに分からない

人権費も最初は自分だけしか入れないことにした


 

不安と恐怖に押しつぶれそうなオープン前だった。

0 件のコメント: