2008年7月16日水曜日

星になった空気達

雨だ
こんな日は何処へにも行きたくない
ルームメイトは青年の冴えない顔を見て
あぁあいつになったらあの絵を見る事ができるのかな
もしかしたら未完のまま私達離ればなれになるのかな

完成するさ
今までがそうだったんだ
強い意志が青年にみなぎった
またペンを取る


顔がぐしゃぐしゃになって泣き腫れたかおの絵を構想してみた
いままでにない他人に流れるような不快感を与える構図だった
こんな絵誰が飾りたがるんだよ

内なる声のもとすぐに却下になった
今必要としてる絵はなんだったんだろう
外の空気を呼び戻さなくては始まらないと外出した


街で買い物をしていたら突然土砂降りにあった

当然雨にそのまま濡れ急ぎ足で家に向かう

止まり木にまたあの少女

2度とはなしかけまいと心に決めていたが
なぜか体半分ほどのスケッチブックを大仰に開き何かを描いてるようだった

こんな天気にいったい何を?

さすがにこっそり覗き込むのは抵抗があり
やぁ、
気付く範囲でこっそり注意をさそう

意も介さないまま接近する
風船?


こんな雨の日で周りは街路樹だらけなのに
無機質な風船を何重にもかさねている

これはむしろ周りを見てスケッチをしてるのではなく
雰囲気を察知して描いてるのだろう

おもったより機敏な鉛筆の動作はまるで何かを封じ込めるような
急いで空気を真空パックにでもしてる雰囲気だ

人がこうやってかいてるすがたをまじまじと見るのはその時が初めてだった
自分の描くスピードがどれくらい遅いかがわかる


少女は突然動作をピタリとやめ
自分の斜め前を察知した

やっぱり失語症なのか

口を2〜3度ぱくつかせた

ごめん

いや自分のまちがった解釈かな
多分そんな感じの言葉を自分に投げかけたような気がした


でも
うらやましいよ
俺は自分の部屋にこもってしか鉛筆は進まない・・・
たまに外の空気を察知して描こうと思うけど
何も感じない
いや何を描けばいいのかわからないんだ

少女は耳に話を入れながらも鉛筆をとめなかった

風船?
深くは考えないようにしたが
外界との繋がりをそう表すのなら
自分にとって
環境って何だろ

その日は
小一時間ばかり描く姿をずっと眺めていた

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