2008年7月27日日曜日

狂おしいほど愛しい痣

自分には描きたいものがある
決して自分の世界ではないのだけれど

模倣でも何でもいいから自分の達成感をはだで感じたかった

ここにきて一つの問題がおこってきた
絵の具
画材の費用が馬鹿にならなくなったのだ
絵の面積が広いと言う訳ではなく

自分のだきょうなく他人のいろをだすには
実験が不可欠なのだ

ただここまできて
経済的なもんだいで中途半端な結果になることは
余りにも無念だった

少年はおもいこしをあげるかのように決心をした
邪念を取り払う意味も込めて
まずは自分の身の回りにある絵を全部売り払う事を決心した
もちろん思い入れのある絵は多々あるが
今これから手に入れるものに比べればあとさきの事なんてどうでもいい

念には念を入れ
親が振り込んでくれた美術学校の授業料までも口座から引き落とした
あとでつかいこんだのがばれてもゆっくりかえせばいいんだ

むしろいまの目標にはどんな事でも犠牲にできる
うしなった事を後悔するのではという事が完全に欠落していた

なんか
頭のなかが妙にすっきりしたな
まるで空気をすうように絵を描く事が自然になってきた

どす黒い感情があざの様に客観的に見れる
そう感じるようになった

よし
駆けだしのパトロンの画廊へと足を運ぶ

そうですか
売ってくれるのですね
初期の丁寧でしかもあどけなさがこの絵には残ってていい
全部責任を持って買い取らせてもらいますよ

ただ一つお願いがあるんですが


言い値ではなく
本当にほしい人達に値段を決めて欲しいんです

それは・・・

オークションと言う事ですか?

いえ
そこまで

暫くここでかざってもらって
本当にほしい人が掲げる値段をこの目でみてみたいんです

こんな事をいっては気を落とされるかもしれませんが
あなたの画家と言う価値は全くの無名だから
投機の対象には全くならんと思うんですよ

だから
この絵が似合う部屋を

頭に少し血がのぼった自分にきづき
我に返り

いえ・・・このままでけっこうです
いますぐ現金に換えられますか?

もちろん
満面の笑みを浮かべパトロンは奥へ消えた

少し自分の欲をだし過ぎた
そう少し後悔し

おもったより少しいろをつけられたなというくらいの紙幣の束を
握り
画材屋へとひた走る

いつもとかわらない店内のドアを少しひらいただけで
強烈ないろが自分の目に飛び込んでくる
絵の具の種類がこんなにいろいろあるのかとその時初めてしったような気がした

自分には全く縁のないだろうと思われたライムグリーン?
いままでつかいどころが全く無かった


なんか
物凄くラグのような違和感を感じる
指で描いたらどうなるだろ?

どんなタッチにも変化する
指だと十人十色の技法

いえにもどり、とかくその日はいろんな手法にチャレンジした
またどれくらい時間が過ぎたのだろう


色を一生懸命ににじませている姿
少年は
確かめるように軌跡をなぞる

もう少しなのか?
自分でもどれくらいで完成なのかわからない

もうここしばらくは家を出たくない
完成してから外のすがすがしい空気を吸いたい

自分にとって絵を描く事は必要なんだ
それは将来の為でもいまの生活をまかなう訳でもない
この瞬間をいきるためにも

鋭い動機と共に指を繊細に動かし迷いを断ち切るかのようにラインを描いた

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