もうすぐ美術学校を卒業する
なれしたしんだこの部屋ともお別れの時期が近付いてきた
もちろんルームメイトとも別れなくてはいけない
課題
あの窓辺に立ち遠くをぼんやり見つめている構図
下書きはようやく
決まり
あとはペイント
ここさいきんおかしな事が起きる
色盲ではないのだがこの絵を見るといろがイメージできなくなる
完成したんだね
後ろからポツリと呟かれる
ルームメイト・・・
いまじゃ
色彩すら漠然とし
随分と当たりさわりのないものを描くようになったもんだ
でも素敵よ
さいごまでちゃんと描き終えてね
中途半端は嫌いなの
ねぇ
?
これ描き終えたらその時は・・・
さて
色がイメージできないとなると
勝手にいろんな絵から当てはめるしかない
この色に近い色から創ろうか
いままで人の模倣にここまでエネルギーを費やした事は
いがいにも彼にとっては初めてだった
自分の満足の為にはどんな手法でも取り入れる
今はとりあえず完成させたくてしかたがないといった
迫真のようなものが宿っていた
課題
寝るのも食べることもおしいくらい没頭する
やっぱり俺は絵を描くのが好きだったんだ
どんなに気に入らない自分の癖のあるタッチも
この時は愛おしくてしょうが無かった
気が付けば
あっとういうまに時間ばかりが過ぎていた
改めてざっと見回して
まだこんなものか・・・こんなペースじゃ課題日に間に合わない
気分をどんどん入れ替えて
あたらしいやる気を掘り起こさなくては
また外に出よう
空気を外に求めるのは自分の世界観だけでは限界がきたと言う証拠
気分はどす黒く食欲もおこらない
ここ3日殆ど何も口にしてないのにだ
水の音がなぜか心にやさしい
気分的な麻痺状態
取り憑かれたように自分の絵にみいってしまった
とりあえずスーパーで食材を買おう
何とも言えない疲労感が背中から襲ってくるのを感じ一人ため息をついていると
後ろからつんつんと背中を突かれる
紙袋をもったあの少女
片手にりんごやバナナくだものをはち切れんばかりに紙袋にかかえ
自分の顔を怪訝そうに見つめる
今日の身なりはきちんと整えられていた
なんだお前かよ
今日はひどい顔をしてるだろ?
さいきんようやく創作の楽しみがわいてきたんだ
もう当分は迷わなくてすむ
少女はしまったというかんじの表情見せ
紙袋をドサっと落とすと
足早にさっていってしまった
果物?が袋からこぼれ落ちる
オレンジ?
ころころと自分の前に転がってくると
なんともいえない安楽感が少し自分の体をほぐしたような気がした
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