2010年3月28日日曜日

セルフサービスのお店

やばいと頭の中でこだました

ここ三日何も口にしていない
それもそのはず病気で寝込んで看病してくれる人がいなかったからだ
体力が底を尽きてきた

外に出て何かを摂らなくては

玄関を開けるともう3月なのに身に染みる風

飢えと寒さ
なんでこんな世の中で身に染みるほど味わなければならないのか

俺は財布を確認した
なんと十円玉が一枚だけ

銀行のATMへ向かうにも時間は過ぎている
友達に連絡しようか
そんな機転も利かないくらい飢えが脳神経中枢に浸透していた

腹に染みる美味しさというのがあるが
脳を突き刺すような飢餓はある種の快楽に近い

そんなことも行っていられないまま街に出た
ぷ~んとおいしい匂いが漂う
カレーや牛丼店
しかし文無しなので理由を言って後で支払うのか
しかし自分はなんといってもプライドが高い
そんなことで無銭飲食でもして
明日にでも笑われようなら

そうこうしてるうちに考える気力すらも失っていった

意識がだんだん途絶えていった

そして
起き上がった末に目の前に有った店

うどんのかつおだしといりこだしの匂いがふんだんに香る店

オールセルフサービス
¥0

なんだここは

しかし
ただより高いものはないよな
このさい贅沢はいってはいられない

なにより飢えははらわたと脳をずんずん突き刺すように感じるのだから

店は引き戸だった
カラカラ開けると
いかにも閉めなくてはいけない空気だった
俺は静かに閉めた

カチャリ
何かが鳴った音がした


なんと鍵が閉まった
此処から先はもう

俺は覚悟を決めた

まずテーブルが有ったが
お盆とお箸
それに丼が置いてある

なるほどセルフサービスでバイキングのようにとっていく方式か

そうたかを括った
しかし
その次には茹で上がってない麺が置いてある

その横には水道と釜揚げき
今の俺にはどこにそんな体力が有ったのか分からないが

夢中で水を注ぎにたったところで麺を入れた

大体こんなものかと言うところで麺を揚げ
丼に盛った


その次には
醤油ダレや調味料、小さな手鍋が置いてある

なるほどスープは勝手に作るんだな

俺はインスタントラーメンの要領で
手際よくて鍋に水を入れ醤油、希釈しているだしを入れ
スープを作った

ここまでくれば後は要領だった
具はエビフライがいいな
そう思い
厨房の奥にある
フライパンに油を貯めて
衣を振ってある惣菜を揚げた

後は適当な場所を見繕い食べるだけだった

しかし、自分で作ったものはひとしおに美味しい
美味しさで涙が出そうだった

湯気と涙で蜃気楼のようなものが見えた頃だった

静かにのろしのようなものが降りてきた

採用

何だ?
採用とは

その後俺は天国の食堂でコックをすることになった

何でもこんな時代に飢えて死んでしまったことは何かのきっかけだそうだ

俺は幸せの中でさらに幸せに満たされている

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