2010年3月27日土曜日

ジグソーパズル

夢を見ていたそれもずっと昔


夜、布団のなかだろうか
下半身のあたりが生暖かい
横を見ると大きないびきをかいて若い女性が寝ている

俺はその女性の半分の大きさにもみたないことがわかった
そうしている間に今度は別の感覚が襲う

あぁもうダメだ
泣きだそうにも微妙な感覚に素直に反応できなかった

そして
俺は広場で自転車に乗ってる夢をみている
若い青年が笑いながら俺の自転車を押している

あぁこんな日差しの中
ただこうしているあいだでも幸せだったな
懐かしさと新鮮さが入り乱れた瞬間だった

そして
学校で先生と内申のことで相談している
成績は中の下
それでも一生懸命勉強した時代があった
その時の必死さと仲間の結束感は忘れられない

短い文章を書いて提出したとき
ほろっと漏れた言葉
お前は良い文章を書くなぁ
何気ない言葉だったが俺のその後の進路を決めた

大学は中退したが
やりたい事は見つからなかった
自由奔放
それだっていい
ただ興味を追いかけるのもまんざらじゃない
ただ、そろそろ職を見つけなければならない


たまたま
見かけた雑誌のエディターの募集
文章で食べていけるのなら
願ってもない
門をたたくとただただ経験だった

そして
たまたま何か物語を書いてくれと依頼があった

エッセイなら何でもと
快諾をした

その後
物書きになるチャンスが訪れた
俺はその時過大な夢を見ていた
これで本当に好きなことが書けると

結果は逆だった
書くことが見つからなくなったのだ

なぜだろう

ひとつだけ分かったことがあった
その当時、俺は満たされすぎていた

家庭を持ちたいと思える人が現れ
真新しい車にローンだが自宅も有った

40代ですべてを手に入れたかのような全能感
仕事も惰性で食べていけるポストにいる

俺が手に入れたかったのはこれだったのか?
大きな無力感に襲われた一瞬でも有った


次に目が覚めると
俺は成人した子供に囲まれている
すでにいろいろな相談回る役目になっていて
精神的に言えば今が一番忙しい

なぜだろう、自分の原動力だったとんがってギラギラしていた好奇心は
かたちを丸め輝きを変え
ますますいろいろな人の役に立とうとしていた

そして目が覚めると俺はもう還暦を超えた
鏡を見ると真っ白だった白髪も黒い毛が混じるようになった
皺だらけだった目尻もピンとし
体はもとの若さに戻ろうとしている
そうだ時は逆行していく
まわりには相変わらず変わった老人にしか映らない

精神力の成長は止まらなかった
より複雑さを増した形は
押えきれないまわりへの衝動として威光を放っていた

次の人生はどうするか
そればかりを考え
俺は享年120歳を迎えるまでゆっくり進む。

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